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プロテオサイエンスセンターマラリア研究部門の元特別研究員の長岡ひかる氏が「第31回日本寄生虫学会奨励賞」を受賞しました【5月28日(土)】

令和4年5月28日(土)、29日(日)、とかちプラザで行われた第91回寄生虫学会大会において、プロテオサイエンスセンターマラリア研究部門の元特別研究員の長岡ひかる氏(本年度から東京医科歯科大学ガーナ研究拠点プロジェクト講師)の研究実績「熱帯熱マラリアワクチン候補分子PfRiprにおける増殖阻害活性エピトープの同定」が「第31回寄生虫学会奨励賞」を受賞しました。

本賞は、受賞までの3年間に寄生虫学に関する優れた研究を行った、若い研究者に対して送られるものです。

マラリアは年間60万人以上が犠牲となる寄生虫症です。昨年ついに、WHOが初めてのマラリアワクチンである「RTS,S/AS01」を、中等度から高度流行地の小児への予防接種として推奨しましたが、その効果はわずか30%であり、さらに効果の高いワクチンの開発が引き続き求められています。

長岡元特別研究員は、マラリア原虫が赤血球に侵入する際に必須なPfRiprというタンパク質から、コムギ無細胞系を駆使する事でマラリアワクチン効果の非常に高い部位(PfRipr5)を見出すことに成功しました。コロナウイルスワクチンと同様、マラリアワクチンも遺伝子変異が問題となります。PfRipr5は他のワクチン候補分子と比較して非常に変異が少なく、画期的なワクチン候補と考えられています。またAlphaScreenとタンパク質アレイによる愛媛大学PROS, PRiME独自のプロテオインタラクトーム技術を用いてPfRiprが赤血球表面のSEMA7Aと相互作用することを見出しました。さらにPfRipr5抗体がその相互作用を阻害することを示すことで、PfRipr5抗体の作用機序を分子レベルで明らかにすることに成功しました。これらの研究業績が高く評価され、今回の受賞に至りました。

<プロテオサイエンスセンター>