令和4年9月17日(土)~19日(月)に新潟大学で開催された「日本鉱物科学会2022年年会」において、大学院理工学研究科博士前期課程1年生の谷脇由華さん、博士後期課程2年生の下岡和也さんの2人が「研究発表優秀賞」を受賞しました。
「日本鉱物科学会」は、「日本岩石鉱物鉱床学会」と「日本鉱物学会」が統合・合併し平成19年に発足した日本の岩石鉱物学研究を牽引する学会です。今年の大会は3年ぶりに対面とオンラインとのハイブリッドで開催され、多くの研究者が議論を深めました。学生会員のポスターおよび口頭発表には30件のエントリーがあり、そのうち4件が「研究発表優秀賞」に選ばれました。
受賞した2人の発表は、マグマが地下深部でゆっくり冷えて固まってできた岩石である花崗岩について、野外調査や化学分析などを行い、その形成過程を議論したものです。
谷脇さんは、愛媛県南部にみられる御内岩体を対象に、花崗岩に含まれる鉱物「ジルコン」の包有物について化学分析を行い、花崗岩をつくったマグマがどの程度の深度で固結したのかを検討しました。花崗岩中のジルコン包有物を用いた固結深度の見積りは、これまで世界でも例のない新たな試みであり、今後の地質岩石研究の進展に大いに貢献するものと期待されます。
下岡さんは、愛媛県島嶼部の梶島にみられる花崗岩が特異な組織をもつことを顕微鏡観察から見出し、鉱物の化学組成分析を含めた詳細な岩石学的検討から、その形成過程を考察しました。今後はさらに地球化学データを充実させることで、花崗岩を主要構成岩石とする大陸地殻の新たな成長モデルの確立を目指します。
なお、谷脇さんは「日本地質学会第129年学術大会」(9月開催)で「優秀ポスター賞」を、下岡さんは「日本地球惑星科学連合2022年大会」(5月開催)と「日本地質学会第129年学術大会」でそれぞれ「学生優秀発表賞」と「優秀ポスター賞」を受賞しており、連続での受賞となりました。
受賞した発表タイトルは以下のとおりです。
受賞タイトル
- 谷脇由華さん(指導教員:大学院理工学研究科・齊藤哲准教授)
「ジルコンメルト包有物を用いた花崗岩質岩体の定置深度見積もり:中新世御内岩体の例」
- 下岡和也さん(指導教員:大学院理工学研究科・齊藤哲准教授)
「西南日本愛媛県梶島に分布する珪長質岩の鉱物・全岩化学組成」
<理学部>