平成27年8月29日,愛媛大学医学部附属病院は,日本組織移植学会から羊膜取扱い施設(カテゴリーⅠ)として認定を受け,国立大学で初の「羊膜バンク」を設立しました。
羊膜取り扱い施設(カテゴリーⅠ)とは,羊膜を採取,保存し,その羊膜を自施設のみならず,他施設にも斡旋することができる施設をいい,厚生労働省からも,羊膜移植の安全な実施に向けての体制を整えることが求められています。羊膜は薄く伸縮性に富んでいるため,近年では,皮膚科や耳鼻科では熱傷などの創傷部を被覆する目的で使用されています。
また,眼科領域でもすでに瘢痕性角結膜上皮症に対する羊膜移植術の臨床応用が行われており,これまでにも,従来の手術方法と比較して,術後の結膜組織の再侵入の防止と十分な組織の被覆による瘢痕の解消の有効性が証明されています。近年まで先進医療として行われてきましたが,その有効性が確認されたため,平成26年4月から保険診療で行われています。
参考
羊膜とは,妊娠中,胎児が母体のなかで包まれている膜で,現在は出産後の排泄物として扱われています。羊膜は赤ちゃん由来の組織であるため,拒絶反応が起こりにくく,炎症を抑える働きがあります。