愛媛大学大学院理工学研究科の内藤俊雄教授の研究グループは、フラクタル次元という特徴があらゆる物質のあらゆる性質を根本から支配しているという物質の次元性と機能の一般的関係を発見しました。この研究成果はイギリス王立化学会発行の「フィジカル・ケミストリー・ケミカル・フィジックス」誌に掲載され、同誌の今年の注目すべき論文(2002 HOT Article)に選ばれました。
概要
同じ物質でもその大きさや形によってその物質の性質(物性)が全く変わってしまうことは、ナノテクノロジーなどの普及により、広く知られた事実となっています。この研究では、物質の大きさや形状によって物性がなぜ、どのように変わっていくかを明らかにしました。物質の大きさや形などの情報を一つの数値に表した概念にフラクタル次元と呼ばれるものがあります。
本研究では、イットリウム・バリウム・銅系の超伝導物質を用いて、そのフラクタル次元を変えた多数のサンプルを用意しました.その物性と構造(原子の並び方)を実験によって詳しく調べ、その結果を理論計算(シミュレーション)で解釈しました。その結果、いろいろな物質に共通した特徴として、フラクタル次元の違いによって、その物質の硬度、電気的性質や磁気的性質などあらゆる性質の変化が、物質の種類によらず、全く同じように生じていくことが分かりました。
これは今回発見されたフラクタル次元と物性の関係が、自然界の根本的法則の一つであることを示唆しています。