研究の概要
この度、愛媛大学大学院理工学研究科の奥島鉄雄准教授らの研究グループは、信州大学の小林長夫特任教授と共同で、段階的前駆体法により特異な縮環様式をもつフェナントロポルフィリンの合成に成功しました。
橋頭位にアリール基を有するビシクロ[2.2.2]オクタジエン(図中青色部分)縮環ポルフィリンの逆Diels-Alder反応によりベンゾ骨格(図中紫色部分)に変換したアリールテトラベンゾポルフィリン(アリールTBP)を合成し、アリールTBPの分子内Scholl反応によりアリール基とmeso位を結合させ(図中緑色矢印間)、meso位とβ位でフェナントレン(図中赤色部分)が縮環したポルフィリンを合成しました。ポルフィリン骨格の構築後に、段階的に構造変換することで、従来の合成法では作りにくい縮環様式を創出することに成功しました。
研究のポイント
- 熱変換型前駆体法により、ベンゾ部分にアリール基を有するベンゾポルフィリンを合成。
- アリールベンゾポルフィリンのアリール基とmeso位での分子内Scholl反応により、meso,β-縮環型フェナントロポルフィリンを合成。
論文情報
掲載誌:Organic Letters
題名:Synthesis of Peripherally Annulated Phenanthroporphyrins(周辺部に縮環したフェナントロポルフィリンの合成)
著者:Muramatsu, Kota; Okujima, Tetsuo; Mori, Shigeki; Kikuchi, Shion; Ando, Shimpei; Okada, Yusuke; Takase, Masayoshi; Uno, Hidemitsu; Kobayashi, Nagao
DOI:10.1021/acs.orglett.3c00876
URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.orglett.3c00876