プレスリリース

高圧含水鉱物の変形が引き起こすマントル深部のプレート内の地震波異方性
高圧含水鉱物δ-AlOOHとH相固溶体の変形微細組織

マントル遷移層と下部マントル最上部に滞留するプレートの付近には、地震波の異方性が観測されています。愛媛大学先端研究院地球深部ダイナミクス研究センターのWentian Wu特定研究員および西原遊教授らの研究グループは、この原因を探るため、高圧含水鉱物δ-AlOOHとH相固溶体の変形実験を、20.5~24.5 GPa、800~1000℃の高温高圧条件下で行い、これらの鉱物が強い結晶選択配向を示すことを明らかにしました。

この選択配向は、他の大部分のマントル鉱物と異なり、地震波の負の偏向異方性(鉛直方向に振動する横波が水平方向の振動のものより高速度)を引き起こします。この異方性は、いままで解釈が困難だった滞留プレート付近の地震波異方性の一部をよく説明できることがわかりました。

本研究成果は、2026年5月12日付でJohn Wiley and Sons Incから刊行された地球科学分野の学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載されました。

δ-AlOOHの変形微細組織、結晶選択配向と地震波異方性

研究成果のポイント

  • 地球のマントル深部の温度圧力で高圧含水鉱物δ-AlOOHなどの変形実験を行ないました。
  • これらの鉱物の変形による結晶選択配向は他のマントル鉱物と異なる地震波異方性を生むことが分かりました。
  • δ-AlOOHの変形がマントル深部に滞留するプレート内の地震波異方性の原因かもしれません。

論文情報

掲載誌:Geophysical Research Letters
題名:Deformation of δ‐AlOOH and its solid solution with phase H as a potential source of intra‐slab seismic anisotropy in the mid‐mantle
(和訳)高圧含水鉱物δ-AlOOHとH相固溶体の変形とその中部マントルにおけるスラブ内地震波異方性の成因としての可能性
著者:Wentian Wu, Yu Nishihara, Noriyoshi Tsujino, Sho Kakizawa and Yuji Higo
DOI:10.1029/2026GL122235
URL:https://doi.org/10.1029/2026GL122235

お問い合わせは、お気軽に下記までお寄せください。

愛媛大学先端研究院地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)
特定研究員 Wentian Wu、教授 西原 遊