愛媛大学法文学部人文社会学科の高橋 千佳教授は、自身が9年に渡って取り組んだインタビュー調査の再分析を通じて、研究そのものが研究者の考え方・研究方法・感情にどのような影響を与えるのかを実証的に明らかにしました。
近年、様々な学問分野において、研究と研究者の関係性が「省察性」という枠組みで議論されています。省察性とは、「研究者の人間性が研究に影響を与え、また、研究者も研究から影響を受ける」という考え方で、これまで主流であった、研究の客観性を重視する考え方とは一線を画すものです。本論文では特に、これまで分野を問わず議論が足りていなかった、後者の「研究が研究者に与える影響」に焦点を当てました。これまで注目されていなかった「研究者の感情」を含めて幅広く実証的に分析し、「研究が研究者に与える影響」(retrospective reflexivity)の概念的・方法論的定義を提供するとともに、分野を超えて応用可能な、分析の枠組みを提示しました。
この研究成果は、応用言語学の研究方法論に特化した国際査読誌「Research Methods in Applied Linguistics」に令和8年7月30日(木)付けで公開されました。
研究成果のポイント
- 研究と研究者の関係性を省察性の観点から考察し、特に、「研究が研究者に与える影響」(retrospective reflexivityとよばれます)について、自身の9年間のインタビュー調査の再分析を通じて考察しました。
- 特に長期間の研究においては、ある研究が研究者に対して理論面、研究方法面、研究者の心理面など、多方面に渡って影響を与える可能性があることを実証的に示しました。
- これまであまり議論されてこなかった、「研究における研究者の人間性」を積極的に認め、研究者が自らの感情に注意を払うことで、研究自体を深める可能性があることを示しました。

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