学校はどうすればよくなるのか?

 block_33903_01_m子どもの確かな学力の育成のためには、親子の信頼関係、友だちとの信頼関係、先生との信頼関係等がとても重要です。私たちは、「信頼」や「つながり」の教育効果を、さらに、教師相互、校長と教師、教師と地域、保護者と教師、保護者相互、保護者と地域、子どもと地域等に広げて、分析・検討しています。教師同士あるいは教師と校長が些細なことでいつも対立している学校。学校と保護者・地域との間のつながりが薄く協力関係が築けていない学校。多くの保護者が孤立し、誰にも相談できず悩みを抱え込んでいる学校。周囲は見知らぬ住民ばかりで、子どもを地域で見守ろうとする環境にない学校。こうした学校では、子どもの学力等は育ちにくいことが、世界の様々な国の調査研究によって明らかにされています。

 

 block_33909_01_m私たちは、学校に関わるこれらの人々の信頼やつながり(ソーシャル・キャピタルと呼ぶこともあります)は、校長先生や教頭先生といった学校管理職の努力によって、向上すると考えています。学校管理職のリーダーシップに期待し、人々の信頼やつながり、そして、子どもの学力を高めるようなリーダー行動について、研究を進めています。簡単に言えば、学校がよくなる方法を研究しているのです。

 

 

研究の特色

 私たちの研究は、学校と関係をつくり、継続的な調査を行う必要があります。人と人との関係を扱う研究なのですが、研究者本人が、そのつながりの中に入ることができないと、研究は成立しません。学校では、授業の様子を観察したり、先生方にいろいろ質問したり、あるいは先生方の相談にのったりします。学校と関わる中で、新たな研究課題が発見できるのです。

研究の魅力

 block_33906_01_m私たちの研究の最大の魅力は、研究成果が学校・家庭・地域を変える可能性を持っていることです。学校・家庭・地域に密着して調査研究を行い、その結果を分かりやすく返す作業が必要となります。私の場合は、学校管理職やリーダー層教員の研修に、自らの調査研究の成果を活用するように努めています。学校管理職や教師の実践に役立つような研究知見を生み出すよう心がけています。学校の保護者講演会やPTA役員の集まり、そして80歳を超える地域住民(学校で役員をされている方)の方が集まるような会で研究成果を報告することもあります。こうした作業は、学会発表の準備とは別に行います。とても時間がかかり、大変な作業ですが、いまや大きな生き甲斐となっています。

この研究を志望する方へ

 信頼やリーダーシップの知識は、学校管理職はもちろん、教師を志す人にとっても必要不可欠なのです。教師は、日常的に児童生徒・保護者・同僚と信頼関係を築き、学級集団を統率しているのです。逆に、大学でしっかり研究(勉強)しておかないと将来危ないかもしれません。