世界の誰もが思いもしなかった独創的な考え方とその原理とは…

block_5246_01_m生命が誕生して37億年、全ての生命体はタンパク質の働きによって生きています。

2003年4月、ヒトゲノムの解読が終了し、いよいよタンパク質研究のポストゲノム時代の到来です。

この研究分野は、生命誕生の歴史・現在・未来などの基礎生命科学はもちろん、応用研究は生命科学の範囲を越えて、材料、エネルギー、更に宇宙開発などあらゆる分野に広がることが期待されます。

研究の特色

 block_5274_01_m遠藤教授は、不可能といわれていた試験管中タンパク質合成法を世界で初めて実用化することに成功しました。さらにこの技術を基に全自動ロボットを最近開発することにも成功しております。このロボット(P・I・M)を用いると、従来のように生き物に頼ることなく300種を越える多種類の遺伝子からタンパク質を一晩で合成することができるようになりました。

 

研究の魅力

2003年9月にはこの方法を用いて、世界中を震撼させたSARSウィルスが作り出すタンパク質の完全化学合成(タンパク質の設計図である遺伝子の化学合成とタンパク質の試験管内合成)に成功しました。このことは、危険な病原体などに触れることなく、それら病原体の診断薬や治療薬の開発研究が実験台の上で安全かつ短期間に可能であることを証明したわけです。本無細胞タンパク質合成技術は、基礎生命科学やマラリアのワクチン開発やオーダーメイド薬開発などのバイオ分野のみならず、生命体が進化の過程で選ばなかったタンパク質分子種(理論上それらは殆ど無限大種類存在しうる)の中からナノテク分野など人類に役立つタンパク質を探し出す、新たな進化工学分野の開拓に向けてその成果が期待されています。

P・I・M(ピム)

 block_5271_01_mここ松山が、アメリカの「シリコンバレー」を越える「プロテインアイランド」になればとの思いを込めて、タンパク質合成ロボットの名前を「P・I・M(ピム)」P=プロテイン、I=アイランド、M=松山と名付けました。

 

 

 

 この研究を志望する方に一言

我々の進めてきたタンパク質の合成技術は完成し、既に研究対象分野ではなくなった。
無細胞タンパク質合成技術を道具として利用し、新たな研究・学問分野の開拓に挑戦したい諸君のみを歓迎する。

block_5296_01_m好きな言葉は、
「Formulation of a problem is often more essential than its solution 」
「研究に重要なことは、解を得るよりも方程式を立てることだ」

−アインシュタインの言葉より

 

始めたきっかけ-何故?どうして?-

僕は、小さい頃から、勉強嫌いで理解力の悪い子供だったと思う。無細胞タンパク質の合成方法開発に結びつく生命原理を見い出すのに20年以上かかりましたが、世の中の常識は、僕にとっては理解できない部分はありますね。