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2015.06.12
英語コミュニケーション能力をつけるには?
教育・学生支援機構英語教育センター / 准教授 長崎 睦子 / 専門:英語教育、第二言語習得

※記載内容は掲載当時のものです。

研究を実践に活かす試み

 長崎先生皆さんは、「あの人は英語ができるよ」と聞くと、どのような人をイメージしますか?小学校から高等学校までの外国語(英語)では、「コミュニケーション能力の育成」という一貫した目標が示されています。また、大学初年時の英語科目においても「コミュニケーション能力」の育成を目標としているところが多くあります。それぞれの段階をふみながら、質、量ともにより豊かなコミュニケーション能力をつけていくことが求められていると言えるでしょう。
 さて、皆さんがイメージした「英語ができる人」とは、どのような人でしょうか?ペーパーテストで毎回100点を取る人を想像した人もいるかもしれませんが、英語を使って、自由にコミュニケーションがとれる人を想像した人が多かったのではないでしょうか。応用言語学の分野においても、言語ができるとは、コミュニケーション能力 (communicative competence) を身につけている状態と考えられています(このコミュニケーション能力とは何かについての研究も多くあります)。
 私の大きな研究の枠組みとしては、コミュニケーション能力を育成することを英語教育の目標とし、そのためには、どのような学習法が効果あるのかを調査・検証しています。

研究の特色

著書

JACET SLA研究会先生方との共著

 現在取り組んでいる研究では、第二言語習得におけるアウトプット(話すこと、書くこと)の役割に注目しています。アウトプットには、様々な機能がありますが、重要な役割のひとつは、何といっても言語に対する「気づき」を高めることです。
 例えば、みなさんも英語で何かを伝えようとしたとき、ことばにつまり、「言いたいことが言えない!」と思った経験はありませんか。そのような主体的な気づきは、人間の学習には不可欠ですし、自分は何ができて何ができないのか、アウトプットをしてはじめて気づくことができます。ある言語項目に対して気づきが起こると、次回、その項目が含まれたインプット(聞くこと、読むこと)が入ってきた際に、より注意が払われ、自分の中に取り込みやすくなります。また、気づいたことを誰かに聞いたり、調べたりして確認する人もいるでしょう。
 アウトプットには、自動化をすすめる練習機能もあります。みなさんは、普段は無意識に自転車を乗りこなしていると思いますが、突然乗れるようになったわけではありませんよね。始めは何度も練習をし、その結果、自然に乗れるようになったのではないでしょうか。同じように、何度もアウトプットすることで流暢に話したり書いたりすることができるようになると考えられます。

音声データをトランスクライブ(文字起こし)

音声データをトランスクライブ(文字起こし)

 このようなアウトプットの機能に着目して、日記をつけるように今日あったことや、今考えていること、また、「印象に残っている出来事」や「好きな映画」など、あるトピックについて声に出して英語で話し、ICレコーダーやスマートフォンなどの録音機器に録音し、その際に気づいたことなどをノートに記録していく活動を英語の授業の課題として取り入れています。この研究では、声に出して練習することを「リハーサル」とよび、瞬時に使えるようになることを目指すため、原稿は書かずに、何度もリハーサルすることを勧めています。そして、授業では練習してきたトピックについてスピーチし発表してもらいます。
 これまでの研究から、このスピーキングによるリハーサルは、学習者の英語に対する気づきを高め、スピーキング力向上にも貢献していることが分かってきています。また、ある単語が分からなくても、他の表現を用いて説明するなど言い換える能力も養われることが示されています。ここでポイントとなるのは、自分が伝えたい内容を話す機会があるということです。決められた文を機械的に繰り返し練習しているだけでは、使いこなせるようになりません。自分が伝えたいことを表現する経験を経て、使いこなせる能力が身についていくと考えられます。アウトプットの中身も重要なのです。

研究の魅力

授業風景第二言語習得研究は、第二言語習得のメカニズムを科学的に明らかにすることを目的としています。主に言語学的アプローチと認知的アプローチからの研究がありますが、その研究領域は多岐にわたり、非常に魅力的な研究分野です。そして、第二言語習得研究からの知見を、英語教育などの外国語教育に取り入れていくことが期待されています。私にとって、この研究分野の最大の魅力は、研究と実践が深く結びついている点です。私自身は研究の成果を教育に取り入れることを目指していますが、自分自身の学んだ経験や教えた経験からヒントを得て、その効果について研究し、さらに改善して再び実践に活かすということもできるのではないでしょうか。

研究の展望

 2018年には、小学校3〜4年生から外国語活動が始まり、5〜6年生では英語が教科になります。グローバル化時代を迎え、現在、英語教育の分野は大きな変革期にあり、今後、小・中・高・大が連携して英語教育を発展させていくことが重要になってきます。第二言語習得研究の知見を英語教育に活かしていくことが、ますます求められるでしょう。

この研究を志望する方へ

 将来、英語(外国語)教師を目指している人や、第二言語習得に関心がある人はもちろんですが、純粋に外国語を学びたいと思っているみなさんにも、役立つ知見がいっぱいです。あなたにとって効果的な学習方法が見つかるかもしれません!