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重要なお知らせ

未来の愛大生へ

2025.07.08
文学少年からナマコ博士に

濱本 耕平 助教 

●沿岸環境科学研究センター
●海洋生物学

私は、大学生の頃にナマコに魅了されて以来ずっと生物学の分野に身を置いてきました。もしここにタイムマシーンがあって、子供の頃の私に誰かが将来の夢を聞いたなら、当然こう答えるでしょう…「小説家になりたい!」

小さな頃から純文学(夏目漱石や大江健三郎、村上春樹などの小説)が好きだった私は、高校生の頃にも文系を選択していました。しばらくは理系学部への進学は考えていませんでしたが、高校2年生の夏、家族の勧めでダイビングのライセンスを取得しに行ったところ、まんまと海の魅力に取りつかれてしまったのです。幸い、将来の教養に…と当時まだ数学科目を選択して授業を受けており、何とか理系に転身し、理系学部への進学を果たしたというわけです。自分の場合はダイビングでしたが、こうした転機はいつ訪れるかわかりません。私からのアドバイスは、「備えあれば憂いなし」です。古代ローマの思想家セネカの言葉を借りれば、「幸運とは準備と機会が出会ったときに生まれる」ということです。

本筋に戻って、私が研究している沿岸底生無脊椎動物、中でも棘皮動物(ナマコやウニ、ヒトデ、ウミシダ、クモヒトデ)は、身近な場所にもたくさんいるのに、あまり研究されていない一見地味な生き物です。かと思いきや乱獲されていたり、磯焼けを引き起こし環境を激変させたり、サンゴの大量死の原因になったり…とてもユニークな仲間なのです。語りだすと止まりませんが、とにかく海に潜って生き物を探して、不思議な現象を見つけて熱中して取り組む。これほど楽しい環境・仕事はなかなかありません。棘皮動物に関して、またはそのほかの生き物についても、皆さんが興味を持ってくれるととてもうれしいです。愛媛大学で会えるその日を、心待ちにしています。

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