受験生
在校生・保護者
卒業生
企業・研究者
地域・一般
教職員
基金室
アーカイブ

トピックス

Print Facebook Twitter
研究 投稿日:2016.02.10
沿岸環境科学研究センター(CMES)および北海道大学大学院獣医学研究科の共同研究による発表論文がアメリカ化学会(ACS)の注目論文としてACS Newsに掲載されました【1月6日(水)】

 ACSでは、世界の化学の広域分野から抽出した多数の論文を紹介しています。その中で毎週数報が注目すべき論文としてエディターから選出され、ACS Newsとして全世界のジャーナリストや報道機関に配信されています。
 今回選出された論文は、ペットのネコが難燃剤の一つであるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)および水酸化PBDEs(OH-PBDEs)によって高濃度汚染されていることを明らかにし、これらの汚染源が魚介類を原料とするペットフードに由来していることを示唆するものです。
 PBDEsは、身の回りの家具・家電に難燃目的で大量に添加されており、近年野生生物の汚染が深刻化している化学物質です。今回の研究では、魚介類を原料とするペットフード(缶詰、固形乾燥フード、パック詰めなど)を分析し、PBDEsに加えて海洋起源の天然化合物であるMeO-PBDEsが高濃度に含まれていることを明らかにしました。さらに、MeO-PBDEsがネコの生体内に取り込まれると、肝臓で薬物代謝酵素の働きによって脱メチル化し、MeO-PBDEsからOH-PBDEsへと生体内変化が起きることを確認しました。しかしながら、ネコはフェノール化合物の代謝を担うグルクロン酸抱合能が遺伝的に欠損しているため、OH-PBDEsを体外へ排出することができず、高蓄積すると考えられます。近年、OH-PBDEsは神経伝達物質や甲状腺ホルモンに悪影響を及ぼすことが指摘されており、海産物を主原料としたキャットフード摂取による恒常的なハロゲン化フェノール類の曝露が、ネコの甲状腺機能障害をもたらすことを示唆しています。
 本研究の成果は、平成28年度から共同利用・共同研究拠点として認定された化学汚染・沿岸環境研究拠点(LaMer)における共同利用と共同研究の推進につながるものです。

図:イヌ・ネコ用のペットフードに含まれるPBDEsおよび代謝物の濃度

図:イヌ・ネコ用のペットフードに含まれるPBDEsおよび代謝物の濃度

掲載記事

ACS news

論文:
H. Mizukawa, K. Nomiyama, S. Nakatsu, H. Iwata, J. Yoo, A. Kubota, M. Yamamoto, M. Ishizuka, Y. Ikenaka, S. M. M. Nakayama, T. Kunisue, and S. Tanabe, Organohalogen Compounds in Pet Dog and Cat: Do Pets Biotransform Natural Brominated Products in Food to Harmful Hydroxlated Substances? Environmental Sciences &Technology, 2016, 50 (1), pp 444–452.