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特色ある研究 企業システム論研究室 教授 水口和壽

総合政策学科 マネジメント
企業システム論研究室 水口和壽
概要
 愛媛大学法文学部は1996年4月に学科改組を行ない、1998年4月には大学院法学研究科の改組を行った。旧経済学科は法学科と合体して総合政策学科となリ、大学院は法文学研究科となり、総合法政策専攻と人文科学専攻の2専攻ができた。旧経済学科では、従来から「愛媛大学経済学研究叢書」を刊行していたが、1998年4月には新たに「愛媛大学経済学会叢書」を発行して、研究叢書の出版支援体制を強化した。「愛媛大学経済学会叢書」の第1号では、井川克彦教授が『近代日本製紙業と繭生産』(東京経済情報出版、1998年4月)を著わし、従来の「愛媛大学経済学研究叢書」第10号では、水口和寿教授が『日本における石化コンビナートの展開』(青葉図書、1999年3月)を著わしている。かように、経済系教官の研究は学部改組や大学院改組を契機に更に活発化している。ここでは、後者の業績についてその概要を紹介する。
 わが国の石化(石油化学)産業は1950年代に新産業として登場し、1960年代には各地にコンビナートを形成したが、1970年代には2度の石油危機に遭遇して構造不況産業になり、1980年代には「産構法」によるコンビナートの集約化が行なわれた。しかし、1980年代後半の景気過熱により、集約化は中途半端に終った。1990年代に入ると、日本産業のグローバル化の動きが加速するのと、国際化学産業のグローバル再編成が急速に進展して、わが国石化コンビナートも本格的な再編成を免れなくなっている。かように、わが国石化コンビナートは1970年代を転機として、その前半と後半で明暗を二分する。前半はコンビナートの形成・発展期であり、後半は停滞・再編期である。本書は主としてその前半部分に焦点が当てられる。すなわち、序章ではコンビナート論の系譜や石化コンビナートの類型化問題が述べられ、第1章では石化コンビナートの形成、第2章では石化コンビナートの発展、第3章では石化コンビナートの乱立過程が詳細に分析されている。また、終章では総括と展望が述べられている。現時点において、石化コンビナートを企業間システムの再編過程にあるとして把え、その展望を指し示したところに本研究の特色がある。
(平成11年4月)