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GRCの桑山靖弘助教らの研究チームがネイチャー誌に地球中心核の電気伝導度に関する成果を発表しました

 東京工業大学、愛媛大学GRC、大阪大学、高輝度光科学研究センターによる共同研究チームが、地球中心核の温度・圧力条件における鉄の電気伝導度の測定に成功し、地球中心核の電気・熱伝導度が、従来の予測より3倍高いことを明らかにしました。

 半径約6400kmの地球の内部には、鉄合金からなる半径約3500kmの地球中心核があり、中心核の外側は液体の外核、内側の中心部は固体の内核と呼ばれています。地球中心は圧力約360万気圧、温度5000度以上の極限状態で、中心から地球表層への熱の流れに起因する対流運動によって、地球磁場の生成やマントル対流、プレートテクトニクスなど、地球のグローバルなダイナミクスが維持されています。

 46億年前の地球誕生以来、また、将来の地球のダイナミクスの理解のためには、地球中心核の熱の伝わり方(熱伝導度)を知ることが必要です。しかし、中心核の主成分である鉄の伝導度を中心核の超高温超高圧状態で測定する実験には技術的困難があり、その見積もりには大きなばらつきがありました。

 東京工業大学の太田健二講師、廣瀬敬教授、GRCの桑山靖弘助教、大阪大学の清水克哉教授、高輝度光科学研究センターの大石泰生副主席研究員からなる共同研究チームは、中心核に相当する温度圧力のもとで、電気伝導度を測定する技術開発に成功しました。高輝度光科学研究センターの大型放射光実験施設(SPring-8)においてこの装置を用い、地球外核に相当する圧力157万気圧、温度4500度までの条件で鉄試料に対して実験を行いました。その結果、純鉄の電気伝導度から見積もった電気・熱伝導度が従来の予想よりも3倍程度高いことを明らかにしました。この研究成果から、地球内核は誕生してから7億年程度しか経過していないことが推測されます。また、地球磁場を生成しているダイナモ機構の理解へも大きく貢献することが期待されます。

 本研究成果は、イギリスの総合科学誌Natureの6月2日号において発表されました。

【発表論文】
Kenji Ohta, Yasuhiro Kuwayama, Kei Hirose, Katsuya Shimizu, Yasuo Ohishi, Experimental determination of the electrical resistivity of iron at Earth’s core conditions, Nature, DOI: 10.1038/nature17957

【参考HP】

論文HP
プレスリリース資料
Nature
愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
東京工業大学
大阪大学
高輝度光科学研究センター(SPring-8)