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重要なお知らせ

お知らせ

平成18年度愛媛大学入学式及び大学院入学式を行いました

 春、快晴の平成18年4月6日(水)愛媛県県民文化会館において平成18年度入学式を挙行し、学部学生等2、063人、大学院学生(連合農学研究科を除く。)500人が入学しました。

 小松学長が、「総合的な判断力、思考力、批判力や普遍的な価値観を身につけるとともに、自分にあった職業分野を探し、目的意識をもって勉強に取り組むことにより、自立心と知的能力を高め、将来への確固とした信念を確立して欲しい」と式辞を述べました。これに対し、入学生総代の磯崎泰好(農学部生物資源学科)さんが、「教養を高め、自ら学び、考え、行動し、問題を解決する能力を身につけ、充実した学生生活を送り、学生としての本分を全うします」と宣誓しました。

 また、大学院入学式では、「自分の専門と他の分野を関係づける『視点』を持ち、全体の中に位置づけることができる広い視野を獲得して、21世紀の知識社会を切り拓く有為の人材として、力強く育てって欲しい」と小松学長が式辞を述べ、入学生総代の山田典子(医学系研究科修士課程看護学専攻)さんが、学問に対する謙虚な姿勢と知的好奇心をもち、社会に貢献できるように努力を続けます」と宣誓しました。
  続いて、遠藤教授(無細胞生命科学工学研究センター長)による特別講話があり、自身の研究成果に併せ、「自分を研き究める方法を会得して欲しい」と激励しました。

学長式辞

 本日ここに、平成18年度入学式を挙行するにあたりまして、愛媛大学を代表して、皆さんの入学を心から歓迎いたします。全国各地から、また、外国から、併せて2,063名の若々しい皆さんを愛媛大学の新入生としてお迎えすることができました。

 この佳き日のために、ご多用にもかかわりませずご臨席を賜りました、吉野内愛媛県副知事をはじめ、各方面のご来賓の方々、愛媛大学名誉教授の先生方に厚くお礼申し上げます。 そしてまた、皆さんを今日まで支えてこられたご家族をはじめ、ご関係の方々のお慶びもひとしおのことと存じます。ご列席に感謝申し上げますとともに、心からお祝いを申し上げます。

 さて、新入生の皆さんはこれからが大事なときです。大学生活は、皆さんが責任ある社会人となるために、真の自分を発見し、自分の生き方を見つめ、生きる力を身につける、人生にとってかけがえのない期間です。 大学生活を始めるに当たり大事なことは、何かを学びたいと考える、みずから課題を設定し学びつづける意欲と決意を持つことです。それとともに、何のために学ぶのかという「学ぶ動機」を意識的に探求し、把握することが必要です。

 皆さんが大学で学ぶ目的の一つは知識を得ることであります。どの学問分野であっても、そこには長い間の人類がなしとげてきた実践と思索から、歴史的に蓄積してきた知識の体系があります。大学での勉強を手がかりに、その中に自分自身で分け入ってみて下さい。知の蓄積がいかに奥深く、広大であるかが分かるでしょう。そこに限りない人類の知性の力を知り、生きる勇気と力が与えられます。そしてまたここに学ぶことの喜びを感じることができるに違いありません。

 しかし、大学での学習は知識の体系を学ぶことに留まらず、どのようにして新しい知識を創造するか、そのための原理的で基礎的な知識は何かを学び、真実を導く方法を学ぶことでもあります。もちろん、まだ解明されていない、乗り越えられていない無数の問題があることも、勉強を深めていく過程で理解されることでしょう。このような批判力、考える力や理解力が本当に身に付くには受け身の段階を乗り越えて、自分の考えを自分で組み立てる実践的な学習が必要です。その上でさらに、情報や知識を得る方法、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を高めることが重要です。

 皆さんはコンピュータの使い方を習得していると思いますが、コンピュータは情報や資料の蓄積、伝達、検索の方法を根本的に変え、今日ではインターネットによってこれまでとは比較にならない程の豊富な情報を入手することができるようになりました。これからの社会では高度のコンピュータ運用能力は大変重要な条件になります。しかし、インターネットで得られる情報がすべて良質のものであるとは限りません。情報は見かけの上では膨大でも、質の管理がないという問題があり、中には悪意に満ちたもの、間違った観念を与える情報、誘惑的なものなど多種多様な情報が含まれています。これらの中から、良質の情報を選別するには、総合的な判断力、思考力、批判力や普遍的な価値観を身につけることが必要です。これらは大学の授業やゼミナール、集団的な議論や個別指導などの中で体得するものであり、ここに大学に於ける学習の重要な意義があり、皆さんが大学で学ぶ主要な目的があります。

 皆さんが大学で学ぶもう一つの目的は大学を卒業後、自分にあった的確な職業や活躍の分野を見出すことです。皆さんは次の世代を担う役割を背負っております。そういう大事な役割を持つ人たちが、将来の目標を持たず、職業意識もはっきりと持たないとすれば、大学で学ぶ目的意識もおのずと希薄になり、その挙句、いざ就職という時期になって自分は何をしたらよいかと迷うことになります。NEETやフリーターという言葉に代表される不正規型労働の蔓延と慢性化が現代社会では極めて重大な問題として意識されていることはご承知の通りであります。

 大学生活は職業人への貴重な準備期間であり、そのための学修の機会でもありますから、これからの社会が何を必要としているか、自分は現在の社会に対して、どのように新しいものを付け加えることが出来るかを深く考え、それにマッチした目標をもって学習に取り組むことが大切です。職業人として貢献する気構えは、就職してからあわてて気付き、意識されるべきものではなくて、完全なものではなくとも大学生のうちにしっかりとその中心的な部分は形成されている必要があります。愛媛大学では入学した初年度から企業や自治体などで実習を行うインターンシップや職業意識を醸成するためのキャリア教育に力を入れております。 このような場を活用して、自分にあった職業分野を探し、理解を深め、目的意識をしっかりもって勉強に取り組んでいただきたいと願っています。
 
 皆さんが大学を卒業して進んで行く社会は、これまでの工業社会と違って、人間の能力そのものが経済社会発展の原動力になる高度工業化社会、知識集約型の社会なのであり、その発展の正否は、働く人々の知的能力がいかによく発揮されるかにかかっております。このような新しい社会発展に対応した優れた知識と能力をもった多数の人材が待ち望まれているのです。

 知識は専門的になればなるほど単独では役に立たなくなります。知識と知識を結びつけ統合し、新しい質を生み出すことが必然的になります。そのためには人々との共同や連携、組織的な行動が必要です。最近の若い人たちは人付き合いがうまくできない、「自分らしく活きられればよい」と称して「お宅的に引きこもってしまう」傾向が強いと言われております。この点も、先に述べましたように、社会に出て、にわかにチームワークの中で働くことができるものではありませんので、大学生活の中で十分に準備をするよう心がけることが肝要です。ボランティア活動やサークル活動など大学生の自主的な活動も大いに推奨したいと思います。もちろん、個性ある主張が集団的活動のなかで埋没してしまったり、うやむやにされるべきではありません。互いの個性と創造性を尊重し、互いに手を差し伸べあい、協調しあうことが大切であります。

 これから皆さんが送る学生生活は、もちろん愉快なことばかりではありえません。学習上、生活上において、皆さんは様々な困難に遭遇することがあります。本当に困ったときには、大学教育や学生支援に携わっている教職員に、いつでも相談していただきたい。同時に皆さんは自分の身近な友人にも気配りをしていただきたい。これは大学からの皆さんへのお願いであります。最近とみに孤立しがちな学生が増えております。また、不幸な事件に巻き込まれることも少なくありません。教職員と連携し、学生諸君が相互に手を携えて、学生生活を真に充実したものにして欲しいと心から願っております。

 これからの4年間、あるいは6年間、思いきり勉強し、課外活動に取り組み、また、日本や世界で困窮している人々への手助けを行うNPOやNGOの活動などにもできれば参加していただきたい。単に個人的な満足に執着し、自分の殻に閉じこもることなく、我が国や世界の人々がともに幸せな生活を送ることができるように、若い力を遺憾なく発揮していただきたいと思います。

 皆さんがこれからの大学生活の中で、自立心と知的能力を高め、将来への確固とした信念を確立できることを心から願い、式辞といたします。 

平成18年4月6日
愛媛大学長 小 松 正 幸

経営企画部総務課