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古代たたら製鉄復元公開実験を実施

 法文学部人文学科村上恭通助教授が、科学研究費補助金による「日本列島における初期製鉄・鍛冶技術の実証的研究」の一環として「古代たたら製鉄復元」公開実験を実施しました。

 この実験は、たたら製鉄の国選定保存技術保持者 木原 明さんの総括・指導により行われ、鉄の歴史に興味をもつ東京大学、立命館大学、大手前大学、京都大学、徳島大学の学生、大学院生が集い、我が研究室の学生達と力を合わせて作業を行いました。また、文化財に携わる全国の自治体関係者や米国ケンタッキー州の刀鍛冶ジェシー・ソープさんが来日し、本実験を通じて、伝統的製鉄技術の習得に励みました。

 製鉄そのものは早朝から1日がかりの作業でしたが、実験にたどり着くまでが実に大変でした。11月24日に実験場の組み立てを開始し、その後、炉の土台、炉床、製鉄炉と築造し、併行して炭切り、砂鉄の選鉱、記録機器の設置等々。実験前日にようやくその準備が整ったが、毎日が炭と土との格闘でした。

実験当日。木原さんの指導下、鉄を作る作業に没頭。炎との格闘、過酷な鞴踏み、一瞬も見逃さない記録・観察作業等々、緊張感ある作業場で厳かに進みました。最後に4基の製鉄炉のうち1基を壊して、なかから灼熱の鉄塊を取り出したとき、作業者、ギャラリーから深いどよめきが起こりました。

 今回復元した炉の現況から、製鉄遺跡で観察した状況を見事に再現していると考えられました。これは当時の炉内環境を復元できたことを意味し、考古学の製鉄研究に対して重要な課題を投げかける実験となりました。
 炭や汗にまみれながら、木原さんの指揮下、一丸となった鉄づくりは、ものづくりと人の輪の原風景を体験させていただきました。これは学問的な成果以上の収穫であったと思います。法文学部総務チーム