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医学部附属病院で「手術支援ロボットda Vinciを用いた肺癌手術」に成功しました

 愛媛大学医学部附属病院呼吸器センターの佐野由文センター長らが、肺癌に対する根治手術として「手術支援ロボットda Vinci」を用いた手術に成功しました。

 本センターでは、これまでに、肺癌手術による侵襲(※1)を軽減するため、完全胸腔鏡下手術(※2)及び単孔式胸腔鏡下手術(※3)を行ってきました。今回は、これらの技術を更に発展させた次世代技術を取り入れたロボットによる手術を行いました。本件は、愛媛県内で初めての事例となります。
 ロボットを用いて行う手術のメリットとして、鮮明な3D画像とデジタルズーム機能を活用し、奥行きがあり拡大された画像を見ることで、今までは見えなかった構造をより正確に認識しながら手術を進めることが可能になる点があります。また、ロボットアームは、複雑に曲げることができる関節を持っており、より複雑な動きが可能であるため、従来の胸腔鏡手術ではできなかった手術操作を行うことができ、手術を安全かつ精緻に行うことが可能となります。

 今回の手術の成功が、愛媛県内の肺癌患者の皆さんにとって、肺癌根治に向けた一筋の光になると同時に、我が国におけるロボット肺癌手術の普及の一助になると期待しています。
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【我が国におけるロボット手術の現状】
 平成24年4月1日に前立腺癌の手術のみ保険収載されていましたが、平成26年9月4日に胃癌手術が、また9月7日には腎癌手術(腎部分切除術)が先進医療会議で先進医療Bに承認されました。しかしながら、肺癌をはじめとする胸部外科領域におけるロボット手術が施行可能な施設はごくわずかであり、広く普及するには至っていません。

【用語解説】

※1)侵襲
 生体内の恒常性を乱す可能性のある外部からの刺激。この場合、手術という医療行為によって、生体を傷つけることを指す。

※2)完全胸腔鏡下手術
 完全胸腔鏡下手術とは、最長3cm程度の皮膚切開より胸部の手術を行うこと。小さな傷で手術を完遂するため、胸腔中をビデオカメラ(胸腔鏡)を通してビデオモニターに映しだし、医師は画面を見ながら手術を行う。患者にとって完全胸腔鏡下手術は、傷が小さく、手術後早期の痛みが少ない。また、術後の呼吸機能の戻りが早いとされており、その結果早期退院が可能で、社会復帰が早いといった利点がある。

※3)単孔式胸腔鏡下手術
 これまでは、側胸部を中心に主として3つの創を置き、手術操作を行う多孔式の胸腔鏡下手術が行われてきたが、単孔式胸腔鏡下手術では、創は一か所のみで行うため、その結果、美容的で手術後の痛みも少なく、さらに早期の退院ならびに社会復帰が可能とされている。

<医学部>