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大学院理工学研究科の佐藤久子教授らの論文がCLAY SCIENCEの論文賞に選ばれました

 大学院理工学研究科環境機能科学専攻の佐藤久子教授と東京大学、物質材料研究機構との共同研究が、一般社団法人日本粘土学会が発行している英文学術雑誌(Clay Science)において、2016年度に発表された論文の中から論文賞に選出され、平成29年9月25日(月)~26日(火)に開催された第61回粘土科学討論会で表彰されました。

研究題目:QCM STUDIES ON ADSORPTION OF WATER MOLECULES ON A SINGLE-LAYERED CLAY FILM
Masataka Komatsu, Kenji Tamura, Kazuko Saruwatari, Akihiko Yamagishi and Hisako Sato, Clay Science 20, 13-19 (2016)

 スメクタイト族粘土鉱物と水との相互作用は、学術的な面からも実用的な面からも非常に興味深い問題となっています。学術的には、膨潤、イオン交換あるいは剥離などの粘土鉱物に特徴的な性質には水分子が深く関わっています。また、実用的には、低レベル放射能廃棄物のバリヤーとして粘土壁が用いられており、長期間に渡る透水性が非常に重要です。これらの点から、今までに、XRD(粉末X線測定)やIR(赤外吸収法)などにより、多くの研究が報告されています。しかし、従来の手法では、粘土鉱物の微結晶が凝集した試料を用いているために、微結晶表面への吸着、積層した粘土層への挿入、微粒子間の毛細管現象、結晶端への吸着など様々な要因が関与しており、これらの効果を別々に見ることが困難でした。そこで、佐藤教授らは、一枚の粘土層の外表面に着目し、それへの水分子の吸着を調べることを試みました。そのために、試料として、粘土単一層からなるナノメータースケールの超薄膜を本研究室で開発した粘土ラングミュア・ブロジェット(LB)法を用いて製造し、吸着によるナノグラムの重量の時間変化をQCM法(Quartz crystal microbalance method)および水の吸着状態を膜のIR(赤外吸収)測定により追跡しました。その結果、粘土表面における水分子の多分子層の形成過程、表面に特有の吸着状態などを明らかにすることができました。受賞にあたっては、初めて粘土表面への水分子の吸着過程を明らかにしたことが評価されました。

 

<大学院理工学研究科>