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プレスリリース

悪役とされる「活性酸素」を上手に使う植物のしくみ 植物の活性酸素種生成酵素タンパク質Rbohの網羅的解析〜十人十色の酵素が適材適所で活躍する〜

 活性酸素は、呼吸に伴ってできる副産物で、加齢・癌などに関わる「悪い物質」として広く知られています。光合成の過程でも活性酸素が発生してしまう植物ではさらに深刻で、植物は活性酸素の害から身を守るためにさまざまな抗酸化物質を持ちます。植物にビタミンCが多く含まれているのはそのためだと考えられています。一方で、植物はこの活性酸素をわざわざ作り、様々な場面で活性酸素を活用しています。
 愛媛大学大学院農学研究科食料生産学専攻の賀屋秀隆 准教授(元 東京理科大学 助教)・東京理科大学理工学部応用生物科学科の朽津和幸 教授・京都府立大学の武田征士 准教授らの研究グループは、これまでに活性酸素を積極的に生成する酵素タンパク質Rbohが、根毛(根に生える細かい毛)や、花粉管の先端成長の過程で、重要な働きを持つことを明らかにして来ました。モデル植物であるシロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) には、Rbohが10種類あり、上記のようにそのうちいくつかについては機能が明らかになっていましたが、これまで全種類を比較した例はなく、それぞれの活性の違い、機能分担については不明でした。
 今回、シロイヌナズナの全種類の酵素タンパク質を網羅的に解析し、同種の酵素であっても多様な性質があり、様々な生命現象に適材適所で機能していることを明らかにしました。この仕組みを利用することで、将来的に生育・生殖効率の高い植物や病気に強い植物を作る一助となると期待されます。
 この研究成果は、国際学術誌 ”The Plant Journal”(プラントジャーナル)に2018年12月20日に暫定版がオンライン掲載され、2019年2月14日に最終版が掲載されました。

掲載誌

The Plant Journal

D O I

10.1111/tpj.14212

題名

Comparative analyses of ROS-producing enzymatic activity of Arabidopsis NADPH oxidases

著者

Hidetaka Kaya, Seiji Takeda, Masaki J. Kobayashi, Sachie Kimura, Ayako Iizuka, Aya Imai, Haruka Hishinuma, Tomoko Kawarazaki, Kyoichiro Mori, Yuta Yamamoto, Yuki Murakami, Ayuko Nakauchi, Mitsutomo Abe, Kazuyuki Kuchitsu

プレスリリース資料はこちら(PDFファイル 1,009KB)

お問い合わせ先

大学院農学研究科食料生産学学専攻 准教授 賀屋秀隆

Tel 089-946-9206
Mail  kaya.hidetaka.hu@ehime-u.ac.jp