ナノ粒子とタンパク質の新しい相互作用を解明し、アミロイド検出技術の高度化へ
愛媛大学大学院理工学研究科の座古保教授らの研究グループは、大阪大学、ノルウェー科学技術大学(ノルウェー)との共同研究により、磁性ナノ粒子を用いて構造多型インスリンアミロイドの選択的吸着およびその要因に影響すると考えられるアミロイド表面の差異について明らかにしました。
タンパク質は温度やpHなどの変性条件下でアミロイドとよばれる線維状の凝集体を形成します。アミロイドは毒性を有し、形成条件によって同一タンパク質から形態の異なる多型アミロイドを形成します。この多型はアミロイド疾患の進行速度や誘導される病態の多様性と関連していると考えられています。一方、磁性ナノ粒子は生体内イメージングや薬物送達システムなどの診断・治療技術として医療分野で用いられています。この磁性ナノ粒子はアミロイドと相互作用することが報告されており、アミロイド疾患の診断・治療等に有用であると注目されています。
本研究では、構造多型が与えるアミロイドと磁性ナノ粒子の相互作用について評価しました。その結果、磁性ナノ粒子が選択的に吸着することが示されました。吸着には様々な相互作用が影響していることが示唆され、吸着の差異には多型に由来する表面構造の違いが影響していることが示されました。本研究の結果は、多型アミロイドの選択的分離及び検出のための基盤になることが期待されます。
本研究に関する論文は、欧州Elsevier社の学術雑誌「Colloid and Surface A: Physicochemical and Engineering Aspects」に掲載され、オンライン版で公開されました(2026年7月5日(日本時間))。
論文情報
掲載誌:Colloid and Surface A: Physicochemical and Engineering Aspects
D O I:10.1016/j.colsurfa.2026.141248
題名:Selective adsorption of magnetic nanoparticles to structurally polymorphic insulin amyloids
(和訳)磁性ナノ粒子による構造多型インスリンアミロイドへの選択的吸着
著者:Ayato Hanazawa, Takahiro Watanabe, Mikael Lindgren, Satoshi Seino, Tamotsu Zako*
責任著者:座古保(愛媛大学)

