~全天 X 線監視装置 MAXI と X 線分光撮像衛星 XRISM の連携観測が生んだ成果~
愛媛大学の高木利紘研究員、志達めぐみ准教授、日本大学の中島基樹専任講師、金沢大学の杉﨑睦博士研究員、理化学研究所の三原建弘上級研究員からなる研究グループは、ケンタウルス座の方向にある強力な磁場を持つ中性子星を含む X 線連星 1A 1118-61 の研究結果を発表しました。この研究は、我が国の理化学研究所が中心となって開発した日本の全天 X 線監視装置 MAXI と、JAXA などの日本の研究機関が主導し、米欧と協力して開発した X 線分光撮像衛星 XRISM を組み合わせた観測を基に行われました。
この天体は、宇宙で最も強い磁場を持つ天体の一種である中性子星と太陽の様な普通の恒星の連星系で、約 17 年ごとにX 線での突発的な増光を示します。MAXI はこの増光の始まりを捉えました。その結果を基に XRISM の観測が計画され、X 線光度がピークに達してから約 10 日後に詳細観測に成功しました。XRISM の高い性能により、鉄原子からの輝線の形を詳細に分解できたことで、輝線の一部は中性子星の強い磁場が支配する磁気圏の外縁を周回する物質から放射されているという予想が明確に裏付けられました。この成果は、中性子星に物質が降り積もる現象を理解するのに重要な強い磁場と周りの物質がお互いに影響を及ぼし合う場所の情報を観測的に得る新たな手法の確立につながることが期待されます。

研究成果のポイント
- 理化学研究所が中心となって開発した全天 X 線監視装置 MAXI と、JAXA などの日本の研究機関が主導し、米欧と協力して開発した X 線分光撮像衛星 XRISM を組み合わせて、強力な磁場を持つ中性子星を含む X 線連星を詳細に観測・分析
- MAXI による長期間のモニタ観測を基に XRISM の緊急観測を実施し、かつてない精度で X 線のエネルギーを測定できる XRISM 搭載の Resolve により、鉄原子からの輝線の形を詳細に分解することに成功
- 観測で得られた鉄輝線の一部が、中性子星の強い磁場が支配する磁気圏の外縁を周回する物質から鉄輝線が放射された場合に予測される幅と一致
- 今回の XRISM/Resolve による精密 X 線分光観測は、中性子星が作る強磁場環境を調査する新たな手法となるとともに、強磁場下の物質動態の知見につながる
論文情報
掲載誌: The Astrophysical Journal Letters (IOP Publishing, 英国物理学出版)
題名: XRISM/Resolve Reveals the Profiles of Neutral Iron Emission Lines in an Outburst X-Ray Spectrum of the Be/X-Ray Binary Pulsar 1A 1118-61
(XRISM/Resolve が明らかにした Be 型 X 線連星パルサー 1A 1118-61 のアウトバーストにおける中性鉄輝線の形)
著者: Toshihiro Takagi, Megumi Shidatsu, Motoki Nakajima, Mutsumi Sugizaki, Tatehiro Mihara, ほか 3 名
DOI: 10.3847/2041-8213/aea070
URL: https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/aea070
