プレスリリース

火星の核直上にある部分溶融層はどのように形成されるのか?
火星の核-マントル境界における長寿命の部分溶融層の形成機構
~高温高圧実験で明らかにした鉄に富むメルトの生成・沈降と核直上への集積~

愛媛大学先端研究院地球深部ダイナミクス研究センターのSteeve Gréaux(スティーブ グレオ)准教授が所属する、ソルボンヌ大学のダニエレ・アントナンジェリCNRS(国立科学研究センター)研究員、および同大学でアントナンジェリ氏のもとで博士研究員を務めたレミ・ピエル氏を中心とする国際共同研究チームは、火星中心核の直上、火星表面から1700kmほどの深さにおいて、岩石が一部溶けた層がどのようにでき、保たれているのかを実験で明らかにしました。

火星内部の岩石を再現した試料に、最大約19 万気圧(地上の大気圧は1気圧)の圧力と高温を加え、SPring-8の強力なX線などで調べました。その結果、火星のマントルの内部では、岩石はこれまでの予想より約100℃低い温度で溶け始め、鉄を多く含む重い液体が生じることが分かりました。この液体は火星の深部へゆっくり沈み、核のすぐ上に溜まって長期間安定に存在し続ける層を形成します。

この研究成果は、火星探査機InSightが観測した火星内部の地震波伝播の異常を説明し、火星がどのように冷え、変化してきたのかを理解する手がかりとなります。

本研究成果は、イギリスの科学雑誌「Nature Geoscience」に掲載されました。

研究成果のポイント

  • 探査機InSightの地震観測が火星の核直上の部分溶融層の存在を示唆するも成因は不明
  • 火星マントルを模した試料の最大約19万気圧に達する高圧高温実験を実施
  • 予想より約100℃低い温度での岩石溶融と、鉄に富む高密度液体の生成を確認
  • 液体の沈降・集積による核直上の溶融層の形成・長期間の維持と、地震波速度異常を説明

火星深部における中心核直上のマグマ層の形成過程を示す模式図

論文情報

掲載誌:nature geoscience(2026年9月18日付で公開)
題名:Experimental constraints on a long-lived magma layer at the Martian core-mantle boundary
(和訳:火星の核-マントル境界における長寿命マグマ層の存在条件を明らかにする実験研究)
著者:Rémy Pierru, Steeve Gréaux, Serena Dominijanni, Lianjie Man, Yoshio Kono, Sho Kakizawa, Yuji Higo, James Badro, Daniel Frost, Daniele Antonangeli
DOI:10.1038/s41467-026-71701-8

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愛媛大学先端研究院地球深部ダイナミクス研究センター
准教授 Steeve Gréaux(スティーブ グレオ)