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2019.08.05
金ナノ粒子を用いた高感度分子検出
大学院理工学研究科(理学系) / 教授 座古 保 / 専門:バイオ分析化学

※記載内容は掲載当時のものです。

金を使った、新しいバイオ分析手法の開発

研究の概要

 高度高齢化社会において、いかに健康に長生きするか、すなわちQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が重要な時代となっています。QOL維持の観点では、疾病の早期診断が重要です。そのためには、バイオマーカーとよばれる、疾病のマーカー分子などの標的分子を高選択的かつ高感度に検出することが必要不可欠となっています。我々の研究グループでは、ナノメートルサイズ(ナノは10のマイナス9乗)の金の微粒子(金ナノ粒子)を用いて、独自の高感度分子検出技術を開発しています。この手法を駆使してタンパク質やDNAなどの生体分子、有機化合物などの高感度検出を実現することで、バイオマーカー検出のための基盤技術を作り上げています。

研究の特色

 直径数~数十ナノメートルの金ナノ粒子の水溶液は赤色を呈している一方で、外部刺激・操作によって金ナノ粒子を凝集させると、水溶液は赤色から薄青色に変色します。これまで、この金ナノ粒子の色調の変化を利用して様々な分子を検出するセンサーを構築しようという試みが数多くされてきました。しかし、色変化を起こすためには多くの分子が必要であるなど、検出感度に問題がありました。それに対し、我々はターゲット分子を加えたときの金ナノ粒子凝集に光をあてたときの散乱光を暗視野顕微鏡により一分子解析することで、ナノ粒子凝集を高感度に検出する手法を開発しました。これまでに、本手法を用いたDNAやタンパク質などの超高感度検出に成功しています。

金ナノ粒子を用いた高感度分子検出

 

研究の魅力

 この研究では、基礎から応用研究にわたる、様々な研究の魅力があります。例えば本研究では、ターゲット分子依存的に金ナノ粒子凝集をおこすことが肝ですが、そのためにはDNAやタンパク質、有機・無機分子などを用いて、ナノ粒子表面をどのように修飾するかが鍵になります。それを考えるには、有機化学、無機化学、生化学など、様々な学問の知見を駆使する必要があります。その他にも、ナノ粒子凝集を見やすくするような光学的工夫など、物理化学を用いた工夫も必要です。このように、考えて目的にチャレンジし、うまくいったときの喜びは格別です。また、本研究では、疾病の早期発見のためのバイオマーカー分子の高感度検出を目指しており、とてもやりがいがあります。近年我々は、アルツハイマー病の原因分子の一つであると考えられる、アミロイド凝集とよばれるタンパク質集合体の超高感度観察に成功しました。これをうまく応用できれば、疾病の早期診断が可能になると期待できます。

研究に用いる暗視夜顕微鏡

今後の展望

 様々なバイオマーカー分子を検出するための基盤を確立する必要があります。疾病バイオマーカーは大きく化合物、タンパク質、ウイルス、DNAなどの核酸分子に分類されますので、それらに最適なナノ粒子表面を設計する必要があります。また、本手法は、環境汚染の度合いを調べる環境アセスメントにも応用可能です。これらの研究を進めるためには、様々な専門の研究者との共同研究が不可欠です。現在我々は愛媛大学において、分光分析、病理分析、核酸工学、タンパク質科学、環境分析の専門家と先端ナノ・バイオ研究ユニットという共同研究チームを組んで研究をすすめています。さらに最近では、AIを用いた画像解析など、先端技術の導入も積極的に進めています。

この研究を志望する方へのメッセージ

 本研究では、生物物理とよばれる分野で発展してきた、一分子計測の手法をバイオ分析に応用しています。新しい研究をおこなうためには、頭の柔らかさや、変化を恐れない前向きな気持ちが重要です。また、研究を成功させるには、学際的研究とよばれる、様々な研究分野の専門家との共同研究が不可欠です。それには色々なことに興味をもてる好奇心と、コミュニケーション能力が必須です。この場合のコミュニケーション能力とは、笑顔や敬語(も大事ですが)だけではなく、相手の言いたいことを理解する力、想像力、様々なことに精通している教養を意味します。これらの力は訓練で伸ばすことが可能です。たとえば好奇心ですが、音楽、スポーツ、料理、なんでもいいので、自分が興味をもったことに色々と凝ってみるのがいいと思います。たとえば自分なりのトレーニング法やレシピを作ってみたり。。インターネットを参考にするのではなく、自分で試行錯誤することが重要で、それがよい研究者になることにとても役立ちます。是非若いうちから鍛えておいて欲しいと思います。

先端ナノ・バイオ研究ユニットメンバー