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2017.08.08
日本海の海洋環境の将来を予測する
沿岸環境科学研究センター / 教授 森本 昭彦 / 専門:沿岸海洋学

※記載内容は掲載当時のものです。

 日本海には、九州と韓国の間に位置する対馬海峡から流入し日本列島に沿って北上する対馬暖流が流れています。対馬暖流は東シナ海から日本海へと大量の物質を運んでおり、日本海の海洋環境に大きな影響を与えています。例えば、日本海南部の塩分は7~9月に急激に低下するのですが、これは中国の大河川長江からの水が対馬暖流により日本海へ運ばれるためです。現在、対馬暖流の上流に位置する東シナ海では中国の急激な経済発展などにより海洋環境が激変しています。その変化はおそらく日本海へも影響すると考えられています。では、いつ、どこで、どのような変化が起こるのでしょうか?このことに答えるため、対馬暖流はどのように流れているのか?対馬暖流は東シナ海から何をどの程度日本海へ運び込むのか?運び込まれる物質の量は季節や年によって変わるのか?もし変わるとしたら将来の日本海の生態系はどうなるのか?ということをテーマに研究を行っています。
 上記の疑問を解決するため、調査船による海洋観測、人工衛星データの解析、電波で海の流れを測定できる海洋レーダによる流れの観測、数値シミュレーションによる現状の再現と将来予測、など様々な手法を駆使し研究を行っています。

 

人工衛星データから計算した日本海南西海域の海流の図です

人工衛星データから計算した日本海南西海域の海流

研究の特色

 海に囲まれた日本は、海から多くの恩恵を受けています。日本海に限らず海の環境は様々なところで大きく変化しており、その変化は私たちの生活に直接影響するでしょう。私たちの研究室では、海で起こっている物理現象や物質の循環を知り、理解することを大きな目的としています。研究では様々な研究手法を使っていますが、「現場を知る」、つまり実際に海に行って研究対象としている海を知ることが重要だと考えており、毎年調査船による海洋観測を行っています。また、手法にこだわるのではなく「海を知る」ために出来ることは何でも勉強して取り入れています。

研究の魅力

 海のことは実はそれほど分かっていません。例えば、私が研究対象としている対馬暖流については、対馬暖流の流路がどうなっているのか、そして流路は季節的に変わるのかという基本的なことでさえもはっきりとしていません。そういう意味では海はまだまだ未知の世界です。これまで対馬暖流を知るために、いろいろな調査計画を立て実行し、少しずつですが新しい事を自分の力で知ることができました。誰も知らない新しい事を知るのはとても楽しいものです。

今後の展望

 これまで主に日本海を研究対象にしてきましたが、海の環境変化はいろいろなところで起こっています。日本海の研究は今後も続けますが、瀬戸内海と東南アジアの海を対象にした研究も行っていきます。愛媛は瀬戸内海に面しているのですから瀬戸内海を知ることは重要です。また、東南アジアでは、日本がそうであったように経済成長に伴い劇的に海洋環境が悪化しています。しかし、観測データがあまりなく環境悪化の実態も把握できていない海も多くあります。各国の研究者と共働し東南アジアの海洋環境維持に向けた研究を進めていきます。

この研究を志望する方へ

 日本は海に囲まれていますが、必ずしも日本人の近くにあるものではないようです。例えば、ほとんどの人は海水が塩辛いことを知っていますが、その濃度がいくらかを答えられる人を多くありません。これは、私たちが海の事を学ぶ機会がないためです。でも、ちょっと海のことを勉強してみてください。海でも宇宙や気象のように不思議なことがたくさん起こっています。もし、少しでも海を知りたいと思った人がいるならぜひいっしょに研究しましょう。

研究者プロフィール