未来の愛大生へ

2022.07.04
出発しよう「自分で学び考える」大学のフィールドへ

小原 敬士 教授

●大学院理工学研究科(理学系)環境機能科学専攻
●反応物理化学

巷は情報であふれ、ネットで検索すれば多くの知識が得られる時代です。いろいろな場面でビッグデータを基にAIが判断して最適な行動を指示してくれる、そんな世界が到来しつつあります。知識や技術はどんどんアップデートされ、求められる製品,サービス,仕事も移り変わっていきます。利用できるツールの単なるユーザーとして生きるなら、専門知識など必要ないでしょう。そんな時代に大学で何を学ぼうと考えていますか。

電子回路や機械を組み立てたり(壊したり)するのが好きだった私は、高校の時に理屈っぽい基礎的なことのほうが大学らしい学問だと思い、機械やエレクトロニクス方向の工学部ではなく理学部を選びました。大学に入ってから化学に取り組み始め、装置や理論をいじくることができる物理化学を選んだ結果、そこで電子スピンと化学反応の関係を調べる研究に出会ったことから、光を使って高速の化学反応過程を時間追跡する反応物理化学を専門にして現在に至っています。選択や出会いが少し違っていたら、全く違う道を進んでいたかもしれません。

大学は広大な学びのフィールドで、さまざまな学問を追求する多くの教員が提供するコンテンツから自由にチョイスし、学び進むことができます。最初から目標・ビジョンを持って進む人もいれば、走りながら自分の道を探す人もいます。今は漠然とした何かがきっかけで構いません。とにかくフィールドに立ち、出発してみましょう。大学以降の学修は、知識・技術を「教えてもらう」一次元のレールではなく、「自分で学び考える」フィールドです。ゴールに向かって進む中、様々な価値観に触れ、試行錯誤し、時には失敗もする、そういった経験や偶然・必然の出会いの積み重ねが、未来の「自分」の土台、変遷する社会に適応し生き抜く力を培い、進む道を照らすでしょう。

「人の頭ではなく、自分の頭で考えなければならない。」「考えながら走れ!」(イビチャ・オシム)

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