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重要なお知らせ

未来の愛大生へ

2021.02.01
生物のブレークスルーを共に明らかにしよう

佐藤 康 教授

●大学院理工学研究科 環境機能科学専攻
●植物科学

 皆さんは、木材がなぜ硬いのか、ご存知ですか?木材には、木質素とも呼ばれるリグニンが蓄積しているからです。水中の藻類が陸上へ進出する過程でリグニンを獲得することで、シダ植物や種子植物は陸上で繁栄できるようになりました。リグニンは病気や傷害に対しても作られ防御にも役立っています。

 植物にとってリグニンの獲得は、陸上で生存するためのブレークスルーの一つでした。身近な植物も、実は様々なブレークスルーの結果、存在しているのです。植物科学の魅力の一つは、植物の持つ多くの、また未知のブレークスルーを明らかにすることにあります。私は現在、リグニンの研究や、生存に重要な役割を担う糖鎖成分のN-アセチルグルコサミンに関する研究を行なっています。研究では、植物の栽培環境を変えたり、遺伝子組換えやゲノム編集などで、一部の性質を変えた植物を作出することもあります。それにより植物に秘められたブレークスルーを解明できる場合があるためです。

 植物に秘められたブレークスルーといっても、それは、植物が環境からの挑戦に一つずつ打ち勝ってきた応戦の、また進化の結果です。挑戦と応戦は、生物の進化だけに限りません。皆さんが日々の生活で、また受験を通し、環境からの挑戦に応戦する中で、皆さんの内面に、一つずつブレークスルーを生むことができるのです。目の前の課題に、また自身の目標に、自分なりに挑戦し道を開く力を培ってください。それが大学入学後、自身の研究テーマに取り組むとき、独自のブレークスルーを生む力となります。大学卒業後に大学院へ進学する方や、教育分野など、様々な方面に進む方と、各自の道があると思いますが、愛媛大学理学部生物学コースでは、生物の研究を通し生物のブレークスルーを発見する力、また独自のブレークスルーを生み出す力を磨くことができます。生物学コース教員一同、皆さんと共に生物を研究できる日を楽しみにしています。

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