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大学院理工学研究科の江波戸佑来さんが第38回溶液化学シンポジウムでポスター賞を受賞しました

block_70161_01_M 平成27年10月21日(水)〜23日(金)、高知市文化プラザかるぽーとで開催された「第38回溶液化学シンポジウム」で、大学院理工学研究科(物理科学コース)博士前期課程2年の江波戸佑来さんが、ポスター賞を受賞しました。
 本賞は、溶液化学シンポジウムで、研究成果についてポスター発表を行った35歳以下のPD(ポストドクター)または学生の中から選出されます。江波戸さんは、第38回溶液化学シンポジウムで、大学院理工学研究科の宮田竜彦助教と「LJ流体に対して近似のOZ理論から求まるvirial圧力とcompressibility圧力の矛盾を解消するbridge補正の試み」というタイトルでポスター発表を行いました。  OZ理論で用いられるHNC近似やKH近似では、LJ流体に対して、virial方程式から求まる圧力(以下、virial圧力)とcompressibility方程式から求まる圧力(以下、compressibility圧力)とが互いに一致しないという問題点が知られています。本研究では、近似を高精度化する手段の一つとして、LJポテンシャルのσパラメータを見かけ上調節するというbridge補正法を試みました。この方法で、virial圧力とcompressibility圧力がともに望ましい方向へ補正されることが分かりました。そこで、virial圧力とcompressibility圧力が互いに一致するようにσパラメータの調整量を定めるという考え方を提案し、その結果得られる熱力学量の精度を議論しました。  研究内容、プレゼンテーション、質疑応答等が審査員によって総合的に評価され、今回の受賞に至りました。

※OZ理論とは…
 液体を構成する分子が互いにどのように配置しているかを知りたいと思ったとき、手段の一つとして動径分布関数を調べるという方法があります。動径分布関数を理論的に計算する試みはこれまでにたくさんありますが、その一つがOrnstein-Zernike方程式を利用する理論(OZ理論)です。また、動径分布関数が分かれば、内部エネルギー・圧力・化学ポテンシャル等のさまざまな熱力学量を計算することもできます。

※bridge補正法とは…
 OZ理論を数値的に解く際、通常はOZ方程式とclosure方程式とを連立させます。OZ方程式とclosure方程式は、ともに全相関関数と直接相関関数の関係を与える式ですが、closure方程式にはbridge関数と呼ばれる(一般には)未知の関数も含まれています。したがって、bridge関数に何らかの近似を施さない限り、OZ理論を数値的に解くことはできません。例えば、HNC近似ではbridge関数をゼロとおいてしまいます。正確にはbridge関数はゼロではないので、このような近似はどこかで悪さをします。そこで、厳密ではないにせよ、ゼロでないbridge関数を適宜仮定することで、近似の精度を上げていくという補正法がとられることがあります。このような補正法をbridge補正法と呼びます。本研究では、bridge関数として、LJポテンシャルのσパラメータを調節するかのように見せかける関数形を仮定しました。

参考HP

溶液化学研究会