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高圧合成セラミックスの割れにくさの新しいメカニズムを提案しました

 地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)では、ナノ多結晶ダイヤモンド(NPD=ヒメダイヤ)に続き、高温高圧合成技術を用いた新物質、ナノ多結晶スティショバイト(NPS)の合成を2012年に発表しました。

参考:NPS高圧合成の成功について(2012年8月30日)

 高温高圧下で合成したNPSなどのナノ多結晶セラミックスは、硬い(高硬度)上に割れにくい(高靱性)という従来の常識を覆す性質を持っています。GRCらの研究グループは、このような「スーパーセラミックス」の割れにくさを説明する、新しいメカニズムを提案しました。

 本研究は、ドイツ放射光実験施設の西山宣正研究員(前GRC准教授)を中心に、GRCの大藤弘明准教授、入舩徹男教授、工学部機械工学科の松下正史講師、高橋学教授および科学技術振興機構(JST)、東京工業大学、物質・材料研究機構、高輝度光科学研究センターなどの研究者からなる国際共同研究チームにより、JSTのさきがけプログラム「新物質科学と元素戦略」の支援を得て行われました。研究チームでは、NPSの高温高圧合成、透過電子顕微鏡観察、放射光X線分析、硬度測定などを行いました。その結果、NPSの破断に伴うアモルファス(非晶質)シリカの生成が割れにくさの要因であると結論しました。このように、有用物質の新規合成に加え、その特徴的な物性がなぜ生じるのかを明らかにすることは、さらなる新規物質の探査や産業応用の上で重要です。

 GRCでは、地球深部科学の先端的研究とともに、工学部・理学部の教員との共同研究により、超高圧を利用した新しい物質科学の創成を目指しており、今回の成果はその一つの表れといえます。

 本研究成果は、分野を越えて重要な研究成果に対し、迅速な発表を目的として2011年にネイチャー出版(英)により創刊された、電子版ジャーナル「サイエンティフィックレポート」誌の10月9日付で公開されています。

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スティショバイトの破断によって生じたアモルファス化したシリカ(走査型電子顕微鏡の二次電子像)(Nishiyama et al., Sci. Rep., 4, doi:1038/srep06558のFigures 3c, 3d)

 

発表論文

Nishiyama, N., Wakai, F., Ohfuji, H. et al., Fracture-induced amorphization of polycrystalline SiO2 stishovite: a potential platform for toughening in ceramics, Scientific Reports, 4, doi:10.1038/srep06558.

論文リンク先(Scientific Reports)

関連するリンク先

ドイツ放射光実験施設(DESY)

DESYでの本件紹介

愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター

愛媛大学工学部機械工学科

<地球深部ダイナミクス研究センター>