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大学院理工学研究科の山本貴准教授が日本物理学会の若手奨励賞を受賞しました【3月29日(金)】

 平成25年3月29日(金)、大学院理工学研究科の山本貴准教授が第7回日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。

 日本物理学会では、将来の物理学を担う優秀な若手研究者の研究を奨励し、学会をより活性化するために「日本物理学会若手奨励賞」を設け、日本物理学会の各領域ごとに受賞対象者を選定しています。今回の「領域7(分子性固体・有機導体分野)」における受賞対象となった研究は、「分子性導体の電荷整列と電荷揺らぎに関する研究」です。

 分子性結晶における電荷整列状態とは、電荷が結晶中を自由に動くことができない状態(絶縁体)の一形態であり、同一分子に起因する「電荷を帯びた分子(イオン的分子)」と「電荷を持たない分子(中性分子)」が一定の規則性を持って並ぶ現象です。この電荷整列現象の周辺現象として、超伝導・非線型光学効果・外場下(光・磁場・電場)での金属化、といった興味深い現象が観測されますが、このような周辺現象と電荷整列の関連性が明らかではありませんでした。
 そこで、山本准教授は、分子振動を観測することで、電荷整列現象を解析できるようにしただけでなく、電荷整列が崩れて揺らぐ様相(=電荷揺らぎ)まで解析できるようにしました。さらに、この方法論を超伝導物質に適用することで、電荷整列現象の崩れる様子に規則性があることについても突き止め、その結果から、分子の並び方(=結晶構造)と伝導性(金属・超伝導・絶縁体)には規則性があることを見出しました。

 この研究成果に基づく「電荷揺らぎ」を利用することにより、少しの刺激で伝導性・磁性・光学特性が変化するような新物質の開発や、既存の理論体系内ではうまく説明できなかった超伝導の解明について期待できます。

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受賞した山本貴准教授(左)と日本物理学会領域7代表:東京工業大学の榎敏明教授(右)

<理学部>