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HISTORY 〜医学系研究科統合医科学 澄田道博准教授〜

 平成24年3月末退職の医学系研究科統合医科学 澄田道博准教授から大学での思い出を寄せていただきました。

 block_43891_01_m愛媛大学医学部の第2生化学(当時)に勤め始めて以来、すでに30年余りが経ちました。
 理学部出身の私は、生物学科とはいえ、医学部での教育が勤まるのだろうかと思い、一方、それまでの筋肉での研究が、より直接的に医療へと応用できそうだと期待しておりました。少々不安気味だった健康面も、医学部では安心でした。もともと、教育に関心が高く、日頃の実験・研究で見つけた事などを仲間と話したり、実習などでも学生と共有出来たらと期待し、喜んでおりました。その頃の医学部は、2、3年生から研究室に出入りする学生も多く、講義・実習の準備や予備実験などを一緒にしてもらえたりと、忙しいながらも、新天地で楽しくスタート出来ました。近くの川ではカジカが鳴き、散歩で山に行くとササユリや風蘭が咲き、海に出るとチヌが釣れるという貴重な環境は、昔の生活少年の頃が再現され、夏休みに一人で四国一周ドライブしたりしました。
 それまでの酵素反応や膜たんぱく質の研究は、理解するのも難解で、説明する時にも頭を痛めてきましたが、その後、講義を担当した遺伝子クローニングや遺伝子暗号の解読は、若い学生にはむしろゲーム感覚に近いらしく、馴染めそうでした。この分子生物学は急速に進展し、PCR技術などは基礎実験にも臨床応用にもすぐに組み込まれました。同じ頃、ビデオ映像やコンピューターグラフィックが活用できるようになり、研究や教育資料に有用で、共通教育での生物界の紹介にも使え、学生と一緒に、DVD画像の編集などを試みたこともありました。
 就任当初、実習を担当したのは、ここの医学部の3回生からでしたが、現在まで多くの卒業生が、すでに中堅や幹部となり、この医学部や、県内外の大学や病院などで、活躍している姿は、頼もしく思え、感慨深いものとなっています。
 最近、組み換え食品などの医食や環境問題が、生活や健康にとり大きな話題になってきました。改めて大学の教育に何が大切で、どのようにしたら学生のモティベーションを高め、実質的で有効だろうかと試行錯誤を続けながら、今でも悟れませんが、その模索が少しでも若い世代に役立っていたらと願う次第です。はじめた頃には、ずいぶん先が長いように見えた大学での活動期間も、中途で、もう終わりですが、これからは旅の仲間に加えてもらい、趣味の園芸などを通じて、環境の保護活動も少しずつすすめたいと思っています。