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教育 地域 投稿日:2017.02.13
教育学部≪科学イノベーション挑戦講座≫受講生が「新しいエネルギー水素とは」の実験講座を受講しました【2月5日(日)】

  科学イノベーション挑戦講座は、国立研究開発法人科学技術振興機構の次世代科学者育成プログラム事業で、教育学部大橋淳史准教授が主担当者として実施しており、今年で4年目になります。

  平成29年2月5日(日)、岩谷産業株式会社中央研究所の荘所正先生が来学され、小中学生20人に水素社会における科学技術の実験を実施しました。

図1 水から水素をつくりだすことができます(白い球:水素、赤い球:酸素)

図2 水素の燃焼では水しか発生しません

 

 産業革命以降、私たちの生活はどんどん便利に豊かになってきました。食品は冷蔵・冷凍によって長期間保管することができるようになり、私たちは飢えから解放されました。夜になったら灯りをともし、暑さ寒さはエアコンを利用することで、いつでも快適に生活することができます。こうした現代社会の便利な生活は、多くのエネルギーによって支えられています。そして現在、そのエネルギー源として化石燃料が利用されています。化石燃料を燃焼させることによって、私たちは多くのエネルギーを手に入れ、安全で快適で便利な暮らしを送ることができるようになりました。その一方で、化石燃料の燃焼によって発生する二酸化炭素はどんどん増えていき、二酸化炭素の大気濃度は産業革命以降1.4倍になってしまいました。そして、増えていく二酸化炭素は、地球から出ていくはずの熱を地球に閉じこめてしまう「地球温暖化」の原因となり、地球温暖化によって100年間で世界の平均気温は約0.7℃上がっています。このままでは二酸化炭素によって大きな気候の変化が起こり、多くの人の暮らしに影響が出てしまいます。そのため、世界で話し合いがすすめられ、1997年の京都議定書、2015年のパリ協定で二酸化炭素を出す量をへらし、これ以上気温が上がるのをおさえようという決定がされました。しかし、私たちの便利な暮らしは化石燃料から得られるエネルギーによって支えられています。二酸化炭素を出す量をへらすということは便利な暮らしに影響が出ることになります。そこで、二酸化炭素の量をへらしながら、私たちの安全で快適で便利な暮らしを支える科学技術が開発されています。こうした研究の結果、化石燃料に代わって私たちの暮らしを支える新しいエネルギーとして期待されている技術が水素であり、岩谷産業株式会社はこの水素を私たちの暮らしにとどけるための研究開発をしています。水素は化石燃料とくらべてエネルギーの埋蔵量と燃焼で水しかできないクリーンさに優れています。水素は水の電気分解によってほぼ無限に得ることが可能なエネルギー源であり(図1)、燃焼で発生するのは水だけなのでとてもクリーン(図2)で、かつ二酸化炭素を出すことがありません。

 講座では、水素がどうして期待されているのかを説明(図3)後に、まず水素を発生させて電力をつくりだす実験を行いました。プラスチックカップと替え芯、電池をつかって水を電気分解してつくりだした水素を使って、電気エネルギーを得ることができるかの実験です。子どもたちはまず、ただの水では電気エネルギーが得られないことを確認した後、水の電気分解を行いました。電池をつないで電気が流れると替え芯から見る見るうちに気体が発生する様子を興味深く観察しました(図4)。



 発生している気体の量をくらべて、水素が陰極から発生していることを確認した後、電池を外して電気分解を終了しLEDに付け替えました。するとLEDは赤く点灯しました。家庭でもかんたんに用意することができる実験器具で、水素をエネルギーとする電池をつくることができました。子どもたちは点灯した光に驚くとともにどうすれば明るくできるだろう、長く点すことができるだろう、もっとたくさん水素を発生させることができるだろうと実験の条件を検討しました。
 この「水素をエネルギー源とする電池」が、燃料電池の原理です。燃料電池は、排気ガスがクリーンで振動がなく、エネルギー密度の高い次世代の電池として期待される科学技術で、私たちの身近な利用方法としては、自動車のエンジンとして使われています。荘所先生から国産燃料電池自動車であるトヨタ自動車株式会社のミライと本田技研工業株式会社クラリティをご紹介いただきました。岩谷産業株式会社は、これらの燃料電池自動車に水素を入れるための水素ステーションの開発研究をしています。水素ステーションは、2016年現在、全国で100箇所程度ですが政府の水素・燃料電池戦略ロードマップでは2025年までに320箇所程度に増やすことが計画されています。愛媛県には、いまだ水素ステーションがありませんが、あと20年のうちに愛媛県でも燃料電池自動車がふつうに走る時代が来るかもしれません。 

 次に水素という気体の性質を調べる演示実験を行っていただきました。水素は無色、無臭、無味の気体で、とても軽いことが特徴です。そのため、水素でシャボン玉をつくると普通のシャボン玉とはちがいまっすぐ上にあがっていくのです(図5)。
 また、水素のシャボン玉に火をつけると炎をあげて燃え上がりました。水素が燃えるときには多くのエネルギーが出てくるのです。このたくさんのエネルギーをゆっくりと取り出す方法が燃料電池であり、短い時間にたくさん取り出すのがロケットエンジンなのです。そこで、岩谷産業株式会社が自作された燃料電池自動車のミニカーを使って、燃料電池自動車と水素ステーションの仕組みについて学びました(図6)。
 ミニロケットの打ち上げ実験では、子どもたちは発射スイッチを押すという大役に挑戦しました(図7)。カウントダウンとともに発射スイッチを押すとミニロケットが勢いよく飛び上がる様子を子どもたちは目を輝かせて見つめていました。



 水素は、理論上ほぼ無限に取り出すことができ、ロケットを宇宙に飛ばすほどたくさんのエネルギーを取り出すことができます。そして燃やしても水しかできないクリーンなエネルギー源です。さらに、電気は貯めておくと少しずつ放電してなくなってしまいますが、水素はへらさずに溜めておくことができ、エネルギーを保管する方法としても優れています。エネルギー資源の少ない日本にとって重要な科学技術であることを紹介いただきました。
 その後、岩谷産業株式会社からご提供いただいたトヨタ自動車株式会社のミライに試乗しました。ミライについての説明では愛媛トヨタ自動車株式会社にも協力いただきました。子どもたちは、次世代の科学技術が詰まった自動車の構造に興味津々で、さまざまな質問をしました(図8)。また、試乗を通して日本の科学技術の高さを感じ、研究者を目指す志を新たにしたようです。



 今回の実施では、岩谷産業株式会社および四国岩谷産業株式会社、愛媛トヨタ自動車株式会社など多くの企業にご協力いただきました。子どもたちに貴重な学びの場を与えていただき、感謝いたします。

 本内容は、あいテレビおよび愛媛新聞で報道されました。

愛媛新聞「水素ぷくぷく、児童わくわく 愛媛大で講座」


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