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市民公開講演会「地底を覗く」を開催

平成19年11月4日(日)、グリーンホールで、文部科学省特定領域研究「スタグナントスラブ:マントルダイナミクスの新展開」総括班と日本学術振興会学術創成研究「放射光と超高圧技術による地球深部物質の探査」研究組織の主催で、市民公開講演会「地底を覗く〜現代地球科学と地球内部の構造・物質・運動〜」を開催しました。

 「学術創成研究」は日本学術振興会による大型科学研究費で、愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターに5年間措置されたもので、今年、最終年度を迎えました。また「特定領域研究」は文部科学省による大型科学研究費で、全国的な規模で組織されており、今回全国研究集会が松山で開催されたことから、それぞれの研究代表者に我々の住んでいる地球の深部がどのような世界であるかを講演いただきました。

 当日は、約100人の一般、学生、高校生、関係者等が参加し、まず、地球深部ダイナミクス研究センターの入舩徹男センター長が「ヒメダイヤの合成と地球内部の物質」と題して講演を行いました。
 講演の中で入舩センター長は、地球深部のマントルは宝石の宝庫であり、核は金属の宝庫であることや世界初のナノ多結晶ダイヤモンド(ヒメダイヤ)の開発過程や今後の目標について話しました。ヒメダイヤは2006年7月に良質化に成功し、今後はこのヒメダイヤをダイヤモンドアンビル装置(超高圧高温実験装置)に応用し、地球中心部の360万気圧を遥かに上回る気圧を出すことを可能とし、地球の全ての地点での気圧が再現できるのでは、と期待を寄せていました。来年度には「坊っちゃん」という更なる大型の装置を開発し、1cm大のヒメダイヤ生成を目指すと話しました。

 続いて、海洋研究開発機構・地球内部変動研究センターの深尾良夫センター長から「日本沈没と沈み込んだプレートの行方」と題して、日本沈没は起こるのか、沈み込んだプレートはどうなるのかをスマトラ地震後の海底や海底の火山噴火の映像などを使いながら講演されました。
 深尾センター長は、海溝付近で起こる巨大地震では、海洋プレートが急激に沈み込むことがあるが、その動きは10分程度しか続かず、太平洋の海底の寿命(全てが新しくなるまでの期間)が約1億5千万年であることを考えると、日本沈没は起こらないと話されました。
 また、沈み込んだプレートは、上部マントルと下部マントルの境界に溜まり(メガリス)、一定量を超えると大崩壊を起こし地球深部に沈み込み、その反動で別の場所からマントルの上昇流であるプルームが大噴火を起こすことがあるが、数億年に1度の割合で起こり、そのときにはプレートの動きに変動が起こるのではないかと説明されました。現在は、地球深部探査船「ちきゅう」で海底下1400メートルにあたる巨大地震の震源まで掘り、地震のメカニズム解明を目指していると話されました。

 会場には、それぞれの研究内容や研究成果のほか、ヒメダイヤも展示し、また書籍の販売も行い、本を購入された方の中には、入舩センター長のサインを求める人もいました。

広報室