令和4年6月14日(火)~16日(木)、富山市・富山国際会議場で開催された第24回日本内分泌撹乱化学物質学会研究発表会(化学物質3学会合同大会:第30回環境化学討論会、第26回日本環境毒性学会研究発表会、第24回環境ホルモン学会研究発表会)において、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門環境毒性学研究室(岩田久人教授)の千種佳織さん(大学院理工学研究科博士前期課程1年)が、優れた発表をした学生に授与される「森田賞」を受賞しました。
千種さんは、「有機リン系難燃剤リン酸トリス(2-クロロイソプロピル)(TCIPP)曝露によるニワトリ初期胚発生毒性の評価」と題したポスター発表を行いました。千種さんの研究では、近年世界中で使用が拡大している有機リン系の難燃剤の一種、TCIPPが鳥類胚に与える影響をニワトリ胚の殻なし孵化装置を用いて詳細に調べました。その結果、TCIPP曝露によってニワトリ胚体節に湾曲が高頻度で生じること、胚体外血管の伸長が阻害されること、心拍数が低下することなどを明らかにしました。さらに、TCIPP曝露によって誘導された表現型異常の分子作用機序解明のため、胚のトランスクリプトーム解析を行い、原因遺伝子と毒性発現に至る経路を推定しました。
千種さんの発表は、学会実行委員による審査を経て、発表要旨や発表の明快さ、質疑応答の的確さなどが評価されて、今回の受賞に至りました。
<沿岸環境科学研究センター>