米国ハワイ州マウナケア山頂にある国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡の共同利用で、宇宙進化研究センター大規模構造進化部門(大学院理工学研究科博士後期課程)の髙橋歩美さんの研究課題が採択され、コロナ禍以降初めて、山頂に観測者が滞在しての観測が実施されました。標高4,200mのマウナケア山頂にあるすばる望遠鏡は、長らくコロナ禍の影響で現地観測を受け入れていませんでしたが、学生が代表の共同利用課題に限り教育目的の現地観測が再開され、現地時間の令和5年8月27日(月)~28日(火)に実施されました。
指導教員である宇宙進化研究センターの松岡良樹准教授が同行して行われた今回の観測は、遠方宇宙にあるブラックホールからの微弱な光を捉え、ブラックホール周辺の物質の流れ、特に外側に向かって吹く「風」の有無と強さを調査する目的で行われました。割り当てられた2夜とも晴天に恵まれ、大気の状態も極めて安定しており、マウナケア山頂でも珍しいほどの好条件のもとで観測を実施することができました。予定していたブラックホール7個の観測を全て完了し、これから日本に持ち帰ったデータを詳細に分析することになります。
また、髙橋さんは観測後の1週間、マウナケア山麓のヒロに滞在し、同天文台ハワイ観測所でセミナーを行ったほか、すばる望遠鏡を用いた次の観測に向けて、専門家と議論しながら観測申請書を作成して提出しました。日本から地理的に隔絶したハワイ観測所の職員も、久しぶりの現地観測者の滞在を歓迎してくれました。
世界的に望遠鏡の無人観測化が進む中、今後も同様の機会を捉えて、学生の現地観測の経験を積んでいくことができればと考えています。
参考Webサイト
<宇宙進化研究センター>