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大学院理工学研究科の谷脇由華さん、福井堂子さん、下岡和也さんが「日本地質学会第130年学術大会」において「学生優秀発表賞」を受賞しました【9月28日(木)】

令和5年9月17日(日)~19日(火)に京都大学で開催された「日本地質学会第130年学術大会」において、大学院理工学研究科博士前期課程2年生の谷脇由華さんと福井堂子さん、博士後期課程3年生の下岡和也さんが、それぞれ「学生優秀発表賞」を受賞しました。

日本地質学会は、明治26年に創立され、現在約3,800人が所属する、日本の地球諸科学関連学協会の中で最大規模の学会です。今回は第130年学術大会という節目の会であり、多くの研究者・学生らが集まり、情報交換を行いました。

谷脇さんは、マグマが地下深部でゆっくり冷えて固まった岩石である花崗岩について「ジルコン」という鉱物に含まれる「メルト包有物」に着目し、マグマが固結した温度や圧力、含水量を推定しました。この研究手法は谷脇さんが愛媛県の花崗岩の研究を通して提案したもので、今回は南アルプスの甲斐駒ヶ岳岩体を対象として研究を行い、新たな知見が得られました。この手法は今後さらに世界各地の岩石にも応用できるものと期待されます。

福井さんは、愛媛県伯方島の野外調査から「閃長岩」という珍しい岩石を発見しました。顕微鏡観察や化学組成分析など詳細な岩石学的検討から、対照的な2種類の閃長岩が隣接して産出することを明らかにし、閃長岩を形成した「交代作用」と呼ばれる地下深部での元素移動プロセスについて考察しました。「交代作用」は岩石と流体との間の物質移動を伴いますが、近年、地震をはじめとする多くの地学現象には岩石と流体の相互作用が関連すると考えられています。福井さんが愛媛県伯方島から発見した閃長岩も、過去におきた岩石と流体の相互作用についての重要な地質記録と考えられます。

下岡さんは、愛媛県梶島の深成岩体の野外産状観察から、地殻深部で花崗岩マグマが斑れい岩の部分溶融により生成したと考えました。さらに野外産状とあわせた岩石記載、全岩主要微量元素組成、Sr-Nd同位体組成、ジルコンHf同位体組成のデータに基づき、白亜紀の花崗岩質生成プロセスを提案しています。今回は「環太平洋地域における白亜紀フレアアップ」と題するシンポジウムでの招待講演として、これまでの研究成果をまとめて発表しました。

受賞した発表タイトル

●谷脇由華さん(指導教員:大学院理工学研究科・齊藤哲准教授)
「伊豆衝突帯甲斐駒ヶ岳岩体へのジルコンメルト包有物地質圧力計の適用:角閃石Al地質圧力計との比較」

●福井堂子さん(指導教員:大学院理工学研究科・齊藤哲准教授) 
「愛媛県伯方島産白亜紀花崗岩類に伴う交代性閃長岩類の岩石学的研究:対照的な2種類のNa交代作用」

●下岡和也さん(指導教員:大学院理工学研究科・齊藤哲准教授)
「西南日本愛媛県梶島に産する白亜紀深成岩に記録された白亜紀フレアアップ期の花崗岩質マグマ生成プロセス」

参考Webサイト

日本地質学会第130年学術大会

<大学院理工学研究科>