miyata_sam この授業は、物理学において基礎を成す熱力学を理解することを目的としています。

 

 

 

授業内容

miyata_1 この授業の特徴はレジュメにあります。視覚的なレジュメは、考えのヒントや問い掛けを交えつつ論理的に作られています。授業はレジュメの流れに沿い、板書を用いてテンポ良く進んでいきます。学生は複雑な式にも戸惑うことなく、説明に集中できている様子で、聞き漏らすまいと熱心にメモを取る姿が多く見られました。

 

 

miyata_2 今回のメインテーマである「熱容量」の話に入る前に、導入の時間が設けられました。今回扱う内容は「準静的変化」を仮定しており、また、熱容量は「定積熱容量CV=(d’Q/dT)V一定」と「定圧熱容量CP=(d’Q/dT)P一定」の2つに分けられるといった、授業を受ける上での前提条件が細かに示されました。抽象的な内容や複雑な式も登場するこの授業では、前提を正確に把握しておくことが重要になってきます。

 

 そして、示量変数(物質量に比例する量)である「熱容量」、示強変数(物質量に依存しない量)である「比熱」、定圧条件での状態変化を考えるときに便利な量である「エンタルピー」について学びました。

 途miyata_3中、熱容量の計算において、熱力学第1法則の式d’Q=dU+pdVの説明に差し掛かると、教員は「ここで1回回り道をします。」とUをT、Vの関数U=U(T、V)とした全微分を書き始めました。板書で解説を加えながら式を並べていくと、CP-CVに辿り着きました。教員は「CP-CVに興味を持つことが多く、これに注目したかった。だからUの全微分を使った。」と、学生の注意を引く工夫も見られました。その後、理想気体で成り立つジュールの法則(∂U/∂V)T=0についても触れました。
 最後に、熱容量に関連した等式を証明する2つのレポート課題が出されました。成績に加点されるというこのレポートも、復習に最適なレジュメが味方をしてくれそうです。

教員からのコメント

miyata 熱統計力学Iは、2回生後期に開講される科目であり、物理学科の学生を主な対象としています。内容は熱力学の基礎であり、講義における目標の一つはエントロピーという、やや抽象的で実感を持ちにくい状態量を理解することです。数学の完全微分、物理的な概念である熱平衡状態や準静的状態変化などの基本事項を押さえた上で、熱力学第0法則、第1法則、第2法則の順に論理を展開し、エントロピーへと話をつなげます。
 本講義では、教員の説明に集中してもらえるよう、あらかじめ講義内容をまとめた補助資料を毎回配布するという工夫を行っています。この補助資料では、通常の教科書で省略されがちな事柄にも触れるよう心がけており、講義後の自習にも使えるよう配慮しています。本講義で学習する熱力学は、巨視的な系を対象とする点において、3回生で学習する統計力学(熱統計力学IIおよび熱統計力学III)と密接な関連があります。

 

学生からのコメント

miyata_stu 熱力学というのは、言葉通り熱というものを物理学の視点から学んでいくものです。
 講義中に出てくるものは、ほとんど微分積分などの数式ですが、当たり前と思える事柄を一つ一つ積み上げて導いていくので、それほど難解ではありません。熱力学は物理学科の学生が学んでいく科目の中で、一番日常生活に役立つものかも知れません。例えば、温度計などは熱力学によってつくられています。熱力学は、我々が今の生活を送るのに欠かせない学問の一つだと思います。

 

この教育活動は、教員の実績ハイライトにも掲載されています。

 教員の実績ハイライトとは、教員の「教育活動」「研究活動」「社会的貢献」「管理・運営」ごとに、特色ある成果や業績を精選・抽出したもので、学内のみならず学外にも広く紹介することとしています。