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授業紹介 I Report

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2020.01.06
有機化学Ⅳ
理学部
担当教員:髙瀬 雅祥 / 対象:3回生~

※掲載内容は取材当時のものです。

 有機化学反応は、生体反応、医薬品の合成、機能性材料の開発、高分子合成反応の基礎となります。なかでも、カルボニル化合物の反応は、炭素-炭素結合反応を形成するための非常に重要な基本反応です。この授業では、基本的なカルボニル化合物の性質や反応性を理解し、合成反応の基礎を習得することにより、様々な有機化合物の合成経路が設計できるようになることを目的としています。

授業内容

 この日は、まず前回の中間試験が返却されました。教員から一人ずつ試験用紙が返却され、笑顔になる学生、ため息をつく学生、隣同士で張り合う学生など、反応は様々です。試験の出来はどうだったのでしょうか・・・。 

 教員からの叱咤激励とともに、試験問題について、30分ほど詳細な解説が行われました。学生は、次回の期末試験に向け、真剣に教員の解説に耳を傾けていました。

 さて、試験の解説の後は、本日のテーマである「カルボン酸誘導体」です。これまでの授業の内容も復習として取り入れつつ、ハロゲン化アシルの化学について、その化学反応とあわせて説明がありました。

 ハロゲン化アシルは、種々の反応により、カルボン酸誘導体となります。

  • 水と反応 → カルボン酸を生成
  • アルコールと反応 → エステルを生成
  • カルボン酸と反応 → 無水物を生成
  • アミンと反応 → アミドを生成

 また、キュプラートやGrignard反応剤をハロゲン化アシルに対して使用するとケトンが生成するのに対して、エステルに使用した場合には、第3級アルコールが得られるといった解説がありました。

 何と反応させると何ができるのかを丸暗記するのではなく、なぜその反応が起こるのか、その仕組みを理解することが大切です。

 本授業を担当している髙瀬雅祥准教授は、海外の有名な雑誌にも論文が掲載されています。興味のある方は、是非ご覧ください。

◆安定で強い反芳香族性を示す 含窒素多環式化合物の合成に成功!
 https://research.ehime-u.ac.jp/ja/chemistry/20191016-02.html
 (「Journal of the American Chemical Society」誌電子版に掲載)

◆2つの芳香環形成が複数の正電荷を安定にする
 https://research.ehime-u.ac.jp/ja/chemistry/20191210-01.html
 (Organic Lettersに掲載)

教員からのコメント

 医薬品から洗剤や食品添加剤、プラスチックや色素、液晶、有機ELに至るまで、私たちの身の回りは有機化合物であふれています。炭素、水素、酸素などの比較的単純な元素だけに限っても、これらの元素から構成される有機化合物は無限に存在します。これは、化合物を得るための手法も数多く存在することを意味しています。それゆえ、化学の中でもとくに有機化学が、「暗記モノだ」と言われる所以かも知れません。

 この授業では、数ある有機化合物の中でも、とくにカルボニル基を含む化合物の反応性を中心に解説しています。官能基の性質を理解し、起こりうる反応やその選択性、化合物の性質などを単に暗記するのではなく、考えて推理することを習慣づけて欲しいと思っています。なので、ぼーっと座って聞き流されるだけの授業にならないよう、授業中に考えて手を動かしてもらうように、なるべく反応機構などを黒板に描くようにしています。

 小学校、中学校、高校と、化学現象に興味を持ち、その仕組みを知りたいと思っている人はいっぱいいると思います。そんな受講生に興味を持ってもらえるような授業をしたいと心がけています。

学生からのコメント

 有機化学Ⅳの授業では、様々な有機化合物(主にカルボニル化合物)の反応について学びます。反応について学ぶ際に、高校までならAとBが反応してCになるという「結果」だけを習っていました。しかし、有機化学Ⅳでは反応の詳細を「反応機構」というものを使って学びます。反応機構とは、反応の途中で原子間の結合がいつ、どこで、どのようにして、何故切れるのか、逆にどのように結合ができるのか、また、どのようにしてカチオン(プラスの電荷)やアニオン(マイナスの電荷)を生じるのか、などを電子の動きを使って表したものです。反応機構を学ぶことで、高校までのように反応の「結果」だけを覚えるのではなく、「過程」や「理由」を理解することができます。反応機構を使って有機物の反応を詳しく学ぶことができる、というところが有機化学Ⅳの面白いところだと思います。