私の専門は、野菜園芸学です。いろいろな野菜の性質や成長の仕組み、栽培方法、生産技術などを研究しています。皆さんの生活に身近な野菜です。中学の技術家庭で野菜栽培をしたことがあって「そんなの大学で研究するようなこと？」と思う人や、「生物学や植物学とどう違うの？」という人もいるかもしれません。
　研究を進めるベースは生物学や植物学ですが、野菜は単なる植物ではないところがミソ！野菜って自然に出来たわけではないのです。1個のトマトが、あなたの食卓にのぼるまでに、人類が栽培し、トマトを変化させてきた長い歴史の物語があり、日々変わっていく野菜の生産現場と流通・消費の仕組みがあります。その上で、「？」を見つけて解決をめざす、つまり人の営みからは離れられないところに園芸学の面白さがあると感じています。
　でも初めから面白いと思っていたわけではありません。なんとなく選んだ専攻でした。「？」を考え、泥縄式にジタバタ調べて知識を増やして、試して、また考えて、のうんざりするような繰り返しです。でも、ある日、経験したことと知識が一気につながって、なるほど！と自分なりに腑に落ちて、それがとても嬉しかったのを覚えています。やってみないと面白いことには出会えないんですね。
　大学で、あたりまえの中にある「？」に出会って、「！」を得る喜びを味わいませんか。