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重要なお知らせ

未来の愛大生へ

2021.01.29
つくりあらわすことの楽しさを伝える「美術教育」

福井 一真 准教授

●教育学部
●美術科教育

 私の研究テーマは、「子どもの造形プロセス」、「小刀などの道具使用の教育的意義」、「木を素材とした作品制作」などです。

 美術や図工における造形活動を観察していると、子どもの造形プロセスには「つくりながら考える」造形プロセスと、「順序よくつくる」造形プロセスがあることがわかりました。特に前者については理論と実践の往還を図るべく、本プロセスを実践しうる造形活動を考案し、教員研修や大学での授業の中で実践を通してそのプロセスについての理解を促しています。
 また、小学校学習指導要領には、昭和22年度の試案の時代から、現行の新学習指導要領に至るまで、「小刀」を使用する旨が明記されているにも関わらず、彫刻刀や鋸などと比べて使用実績が低いのが実情です。安全面での不安など様々な要因があることが明らかになっている中で、小刀を使う楽しさや安全な使用方法などを現職教員や学生に造形活動を通じて伝えています。
 そして、上記の研究と並行して、木を素材とした作品を制作し発表しています。自身の制作経験が、道具使用の高度な技術や素材特性などの幅広い知識を培い、学生指導や理論研究の基盤となっています。

 「美術」と聞いて、「私には関係ないわ」と考える方も多くいるのではないでしょうか。しかし、よく考えてください。私たちを取り囲む環境は「美術」を抜きにしては語れません。あなたの着ている服、お気に入りの自転車、好きな漫画、いつも使っているシャーペン、美しく感じる景色など、「色」や「形」で構成されるほとんどのものは、「美術」と深い関わりがあると言っても過言ではありません。では、「美術教育」とは何をするところなのでしょうか?
 美術や図工の授業では、作品をつくることが最終目的であると考えている人が少なくありません。しかし、実のところ「美術教育」は、「美術」による「教育」をする教科であり、言い換えると、「作品をつくる」ことによって、生徒・児童に伸ばしてほしい「資質」や「能力」を培うことが目的となる教科です。作品をつくることは、資質・能力を伸ばす手立てである、と私は考えています。
 そのため、美術や図工を指導するためには、様々な材料や道具の知識、それを扱う技術などが求められることになります。愛媛大学教育学部美術教育講座では、絵画・彫刻・デザイン・工芸・美術史・美術科教育などの様々な分野において、専門的な知識や技術を身につける機会を提供しています。絵で表す。ブロンズを溶かす。鉄板を溶接する。PCでデザインする。作品を紐解く。教育として考える。大学4年間でしかできない経験がここではできます。「美術」が皆さんの普段の暮らしを、これからの人生をより豊かなものにしてくれることは間違いありません。
 何かをつくったり描いたりすることが好きな人もそうでない人も、美術や図工を通して、つくりあらわすことの楽しさをこれからの子どもたちに伝えていくそんな教員を目指してみませんか?そのときは是非、愛媛大学で一緒に学んでいきましょう!

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