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重要なお知らせ

未来の愛大生へ

2022.01.04
未来の社会づくりと紙

薮谷 智規 教授

●社会連携推進機構 紙産業イノベーションセンター
●分析化学、製紙材料科学

 私は愛媛県四国中央市にある紙産業イノベーションセンターに在籍しています。四国中央市は製紙、紙加工、機械メーカーなどが密集しており、市区町村別紙の製造品出荷額全国1位、出荷額の約9割が紙に関するモノというまさしく紙産業のメッカです。四国中央市のキャンパスは最新鋭の分析機器や製造装置を有する愛媛県紙産業技術センター(紙に関する公設試験所)に隣接しており、紙や紙加工研究に適した環境となっています。ここには、社会共創学部産業イノベーション学科紙産業コースの学生(学士課程)、大学院農学研究科バイオマス資源学コース(修士課程)の学生、企業からの研究者が在籍し、活発に研究・教育・産学連携活動を行っています。

 現在、私は分析化学の知識を生かした製紙関連の教育と研究を行っています。分析化学は、物質や現象を解明するための化学的分析方法を開発する研究分野であり、モノつくりを支える重要な学問です。これまでに、持ち運びが容易な紙製の医療診断、環境分析用センサーの開発やセルロースナノファイバーに関わる製品開発に取り組んでいます。

 2021年、四国中央市出身の真鍋叔郎先生がノーベル物理学賞を受賞されました。真鍋先生の業績は地球温暖化の予測に関するものです。地球温暖化や大気汚染は石油や石炭などを多く消費することが一因となっています。未来の持続可能な社会づくりには、化石燃料の消費を減らす必要があります。ただし、環境に優しいだけなく製品の利便性や快適性を維持した製品開発が重要となります。その切り札が「紙」かと思います。紙の主原料であるセルロースはカーボンニュートラル性や高い生分解性を有しています。また、紙は軽量性、安全性、加工のしやすさ、高い機械的強度など材料的にも高いポテンシャルを持っています。

 未来を担う皆さんとともに、便利で快適な紙、バイオマス材料・製品の開発に取り組んでいきたいと思っています。

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