!

重要なお知らせ

未来の愛大生へ

2022.12.27
歴史学と想像力

齊藤 貴弘 教授

●法文学部
●西洋古代史

こんにちは。私の専門は西洋古代史、特に古代ギリシアの歴史が専門です。「ギリシア神話」で知られるように多神教が深く根付いた社会であり、史上初めて民主政を実現したのが古代ギリシアでした。もちろん現在の民主政治とはいろいろ異なりますが、その源流は古代ギリシアの都市国家アテナイに遡ります。私は、このアテナイを主な対象に宗教と社会の関係を様々な視点から研究しています。

皆さんは、歴史は暗記科目で、歴史の研究というと過去の文書を読んで歴史を再構成する地味で後ろ向きな学問と思っているかもしれません。過去はやり直すことができず起きた事実は覆りませんから、硬直した対象を扱い創造性に欠けるようで魅力を感じていないかもしれません。でも、大学での「歴史学」は、そういうものではありません。

古い時代ほど史料は少なく、その限られた史料の中で当時の社会のあり様を考えていくために必要なのが、「想像力」です。2,400年も前の現代と全く異なる社会に生きた人間が書いたことを理解するには、文字面を撫ぜるだけでなく、こちらから「問いかけて」いくことが必要です。断片的な情報から背後にあるもの、その全体像に迫るにはこちらから「なぜ?」と問いかけ、時として想像力を補助線にして仮説を立ててみる。そうすると、今まで、意味ないように思えた文言や断片的情報が繋がりを示す──そんなこともあります。

もちろん、勝手に何でも妄想すれば良いというものではなく、史料を読み解くための知識や技術は大切です。自らの価値観を無批判・無自覚に過去の史料に投影して読み込むことも避けなければなりません。歴史学は、そういう意味で「他者」と向き合う学問でもあります。

そうして培った「歴史学的な眼差し」は、過去ばかりでなく未来に向けて創造していくための力にもなるでしょう。古代ギリシア・ローマの広く深く豊かな世界を皆さんとともに学ぶ日を待っています。

MORE MESSAGE