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大学院教育学研究科の学生が久万小学校特別支援学級で藍の絞り染めと抜き染めを行いました【1月16日(木)】

 平成26年1月16日(木)、愛大GP「伝統の継承プログラムを通したグローカルマインドの育成」事業として、大学院教育学研究科2年の段王里菜さんが、久万小学校の特別支援学級で藍の絞り染めと抜き染めを使った伝統への興味・関心を高める実践を行いました。

 本事業は、本学が支援する教育改革促進事業(愛媛大学GP)で、今年度採択されたものです。忘れられようとしている地域の伝統を復権する作業を通して、自らの来歴を知り、伝統に立脚した人格を育成して、世界に通じるグローカルマインドを持つ人材を育成することを目的としています。
 愛媛県の伝統の織物に「伊予絣」があります。伊予絣は、藍染めを用いた織物で、明治36年には絣の全国生産量1位になり、愛媛県は伊予絣を通じて全国に知られていました。しかし現在、愛媛県を含む四国で藍染めは衰退しており、藍染めを知らない子どもたちが増えています。
 そこで、本事業では、伝統の継承プログラムを通じて、地域の一員として自覚と誇りを持って行動し、目的達成のために多様な人と協働する、グローカルマインドをもった次世代を担うリーダーとなる人材を育成することを計画しました。

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藍染めについて説明をしています

 本実施は、久万小学校教員と生活支援員、段王さんが、以下のような観点から、児童が積極的に取り組むことを期待して計画されました。
(1)児童が愛媛県の伝統に興味を持つこと
(2)実施校地区にも伝統の藍染めを継承する試みをされている方がいらっしゃるため親しみを感じやすいこと
(3)自分の作ったハンカチを使うという創作活動を楽しむこと
 そして、以下の3点を単元目標として設定しました。
1.藍染めの特徴を知り、その良いところを日常生活に取り入れようとする心情を高める
2.絞り染めの手順を理解するとともに、用具の扱いに慣れ、作品づくりを楽しむことができる
3.家の人に作品をプレゼントすることで、藍染めの良さを伝えることができる
 生活単元では「あいぞめのハンカチづくり」として実施されました。また、抜き染めによって自分たちが使う藍染めハンカチも製作しました。

●1校時目は、絞り染めを行いました。
 児童が調整した藍の染液に、前日までに割り箸や洗濯ばさみ、ビー玉を使って『絞り』を入れた木綿ハンカチを入れ、3分後に取り出し、5分間空気中で酸化させました。酢酸溶液で定着させた後、染液を水で洗い落として、絞り染めを完成させました。割り箸や洗濯ばさみを外して広げると、美しい模様が広がり、児童は感嘆の声を上げていました。

 

●2校時目は抜き染めを行いました。
 あらかじめ藍染めしておいた木綿ハンカチに、児童が選んだ人気キャラクターの型を乗せ、でんぷん糊と片栗粉と台所用漂白剤で調整した抜き染め剤を塗りました。それをドライヤーで乾かし、抜き染め剤を水洗いで落として、抜き染めを完成させました。
 児童は、思った通りに抜き染めができたのでとても喜んでいました。

【児童の感想】
「ぼくは、キャラクターのハンカチがじょうずにできてうれしかったです。しぼりぞめをつくるとき、りな先生がおしえてくれたのでうれしかったです」(1年男子)
「わたしは、キャラクターのぬきぞめが上手にできました。楽しかったです。しぼりぞめはむずかしかったけど、楽しかったです。他の子のハンカチのもようがたいようみたいでした」(2年女子)
「ぼくは、あいぞめで大好きなキャラクターを作りました。できたら、かわかしました。上手にできました。また作りたいです」(3年男子)

お家の人にサプライズプレゼント!皆さん驚いて喜んでくれました

お家の人にサプライズプレゼント!皆さん驚いて喜んでくれました

 そして、製作した藍染めハンカチは、1月26日(日)に行われた学習発表会で、家の人へのサプライズプレゼントとして児童から保護者へ渡されました。保護者の方は、サプライズプレゼントに驚き喜んでくれました。
【保護者の方の感想】
「今回は藍染めを経験させていただきましたが、ハンカチを子どもからもらったとき、すごくうれしかったし、とても良かったです。これからも、いろいろと経験させていただきたいと思います」(1年男子の母)
「藍染め体験をした日は、笑顔で楽しかったと話してくれました。自分の分を持ち帰ったときには、みんなに見せて回って「宝物〜」と大喜びでした。プレゼントしてもらったハンカチは、とてもキレイな色で上手に染まっていました。不器用な子が一生懸命作っている姿を思い浮かべながら大事に使わせていただきます。ありがとうございました」(2年女子の母)
「普段は伝統文化に触れることも少ないので、授業などで学んだり、知ったりすることができるのはいいなと思います」(3年男子の母)
 この授業の後、児童は藍染めをまた作ってみたいという気持ちが強くなったそうです。また、久万小学校からは「伝統と子どもたちの興味(キャラクターなども活用しての)を合わせることが新しく、こうやって伝統の良さに触れられることが良いと思いました」「自然の物を使って染めるという昔ながらの手法を体験でき、きれいな模様が出てきたときの感動が味わえて良かった。このようにしてできあがっていくということを知ることができる貴重な体験だった」などの感想をいただきました。
 こうしたきっかけを通じて、多くの人が伝統と文化に対して関心を抱き、地域で活動していくことが期待されます。 
 また、本事業を通じて、学生は地域の一員として自覚と誇りを得、多くの人との触れ合いを通して、グローバル化やグローカルマインドについて大きな知見を得ることができました。<教育学部>