お知らせ

大学院教育学研究科と教育学部の学生グループが石井東児童クラブで藍の抜き染めを行いました【8月22日(金)】

 平成26年8月22日(金)、愛大GP「伝統の継承プログラムを通したグローカルマインドの育成」事業として、大学院教育学研究科1年の和田敬行さんをリーダーとする学生グループ10人が、石井東児童クラブで、小学校1〜3年生40人の児童とステンシル版画を用いた藍の抜き染めを行いました。

 本事業は、本学が支援する教育改革促進事業(愛媛大学GP)で、昨年度に続き今年度も採択されたものです。忘れられようとしている地域の伝統を復権する作業を通して、自らの来歴を知り、伝統に立脚した人格を育成して、世界に通じるグローカルマインドを持つ人材を育成することを目的としています。
 愛媛県の伝統の織物に「伊予絣」があります。伊予絣は、藍染めを用いた織物で、明治36年には絣の全国生産量1位になり、愛媛県は伊予絣を通じて全国に知られていました。しかし現在、愛媛県を含む四国で藍染めは衰退しており、藍染めを知らない子どもたちが増えています。そこで、本事業では、伝統の継承プログラムを通じて、地域の一員として自覚と誇りを持って行動し、目的達成のために多様な人と協働する、グローカルマインドをもった次世代を担うリーダーとなる人材を育成することを計画しました。
 今回、平成26年5月8日(木)に実施した私立久枝幼稚園での父の日の記念品制作の報道で、本事業を知った石井東児童クラブから依頼がありました。学生たちは、実施前に児童クラブに出赴いて話し合いを行い、藍の抜き染めを実施することになりました。そして、抜き染めに使用する「ステンシル版画(本学で制作)」を予め児童クラブに渡し、実施日までに先生方と児童たちとで、当日使用したい版画を選んでおいてもらうことになりました。
 

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抜き染めの手順を説明中

当日は、学生統括リーダーの教育学研究科1年の和田敬行さんをリーダーとして、教育学研究科2年の藤田奈津子さん、1年の神森貴文さん、塩崎香菜さん、橋本愛さん、風呂圭祐さん、農学研究科1年の高柳知佳さん、教育学部4年生の前田莉菜さん、1年生の青木孝義さん、細川彩名さんが参加し、石井東児童クラブの先生方と協働して実施しました。
 藍の抜き染めは、染み抜きの原理を応用したものです。木綿ハンカチを本学で藍染めしておき、児童たちには人気キャラクターなどのステンシル版画から抜き染めしたい柄を選んでもらって行います。抜き染めの手順は、1.藍染めした木綿ハンカチに、ステンシル版画を載せて固定する、2.抜き染め剤(台所用漂白剤、でんぷん糊、片栗粉を混ぜた物)を塗る、3.ズボンプレッサーで3分間乾燥する、4.洗う、5.干す、の5段階で行います。抜き染め剤は家庭用を用いるため安全で、かつズボンプレッサーで乾燥させて洗うだけで完成するため、児童でも手早く行うことができます。また、ズボンプレッサーを使うと消費電力も少なく、短時間で効率良くステンシル版画の型を抜き染めすることが可能であり、実施が容易になっています。
 児童たちは、それぞれ人気キャラクターを選んで抜き染めを行い、きれいにできるように一生懸命抜き染め剤を塗りました。そして、ズボンプレッサーで抜き染めした結果を見て、大喜びで洗い場に飛んで行きました。乾いたハンカチを袋に包んでもらって大事そうに持って帰る様子が印象的でした。
 実施後は、児童クラブのご厚意で、学生は児童たちと一緒におやつをいただき交流を深め、その後、石井東小学校のグラウンドで鬼ごっこなどをして過ごしました。

 

 藍の抜き染めの実施は今年で3年目となり、外部からの依頼によって事業が実施される状況が軌道に乗ってきたことは、学生中心の活動として、本事業が根付いてきたことを示唆していると思います。
 地域の方々、そして児童たちと協働しながら、伝統文化に思いを巡らせた学生たちは、新たなグローカルについて考えたことと思います。 
 次回は8月29日(金)、松山市立道後保育園で藍の抜き染めを行う予定です。

<教育学部>