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GRCの大内講師らが稍深発地震の発生メカニズムを解明しました

 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター(GRC)の大内智博講師、入舩徹男教授(東工大ELSI兼務)、高輝度光科学研究センターの肥後祐司研究員ら研究グループは、高温高圧下での地震発生モデル実験により、深さ30~500kmで発生する稍深発地震の発生原因を明らかにしました。この研究成果はイギリスNature出版のNature Geoscience誌のオンライン版で8月29日に公表されています。

 私達が住む地表のプレート(厚さ約60キロメートル)は、ゆっくりと流動するマントルに浮かんでおり、プレートはマントルの流れと共に移動します。日本列島のようにプレート同士が衝突するプレートの境界部では、プレートに強い力が働くために断層が形成され、その急激なすべり運動により地震が発生します。
 一方、稍深発地震は50~300 kmのプレート内部で『地震の巣』を形成していますが、その発生メカニズムは、上記のように地表付近で起きるような一般的な断層のすべり現象では説明ができないことが知られており、地球深部に存在する可能性のある微量の水(地球深部水)によって誘発された断層すべりが原因であろうとする仮説が支持されてきました。しかしその仮説では、地球深部水が存在しないと考えられる場所でも稍深発地震が起きている事実を説明できない問題点がありました。
 本研究グループは、大型放射光施設SPring-8にて、稍深発地震が起こる深さに対応する温度圧力条件下でプレートの岩石を変形させ、岩石中でのミニ人工地震発生の際に発生する超音波(アコースティック・エミッション:地震波に相当)を測定するとともに、得られた試料の電子顕微鏡による微細組織の観察を行いました。この結果、プレートの岩石の一部分に『変形のエネルギー』が局所的に集中することで、部分的に岩石が溶融し、その結果岩石の強度が低下して断層ができ、地震の発生に至るということを明らかにしました。本研究の結果は、プレート内部にて発生する稍深発地震の発生原因を統一的に説明可能であるため、基礎科学的に重要な成果です。

発表論文

Tomohiro Ohuchi, Xinglin Lei, Hiroaki Ohfuji, Yuji Higo, Yoshinori Tange, Takeshi Sakai, Kiyoshi Fujino, and Tetsuo Irifune, Intermediate-depth earthquakes linked to localized heating in dunite and harzburgite, Nature Geoscience, doi:10.1038/ngeo3011, 2017.

参考HP

プレスリリース資料
論文HP
Nature Geoscience
地球深部ダイナミクス研究センター
東京工業大学地球生命研究所(ELSI)
SPring-8

<地球深部ダイナミクス研究センター>