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授業紹介 I Report

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2016.10.21
基礎生物学
工学部
担当教員:堀 弘幸 / 対象:応用化学科1回生~

※掲載内容は取材当時のものです。

 この授業では、「物理学や化学の視点から生物を捉えると、生命現象はこういう風に理解できる」という事例を学びます。また、どのような人々により、どういう観察や実験から生命現象がどう理解されてきたかを歴史的にたどり、現在の最新の仮説まで概観します。

授業内容

 今回の授業では、生命の基本単位である細胞について学びました。まず、教員から、レンズの組み合わせで顕微鏡を作製した生物学者フックの紹介があり、顕微鏡の発達によって、様々な生物を拡大して観察できるようになった背景が説明されました。さらに、植物が細胞からできているとしたシュライデン、動物が細胞からできていることを明らかにしたシュワン、生物の成長と細胞分裂との関係について解明したウィルヒョーの細胞説について、説明がありました。

dsc_2728 ここで、「生物の中で最も成長の速いものは?」との質問がありました。この答えには様々な説があるようですが、以下の5つの回答が挙げられました。

  1. タケノコ:1日に数10cm。ただ、水分を吸収して伸びており、細胞分裂で伸びているわけではない。
  2. アフリカゾウの胎児:生まれてくる直前のDNAの合成速度は光の速さと同じ。
  3. イカ:数10cmになるのに3ヶ月。
  4. 大腸菌:25~30分で細胞分裂する。
  5. λ(ラムダ)ファージ(バクテリアに感染するウィルス):40分で200倍に増える。

 学生たちは予想もしない回答に驚き、興味を示していました。

 続いて、観察技術の進歩についての話題に移りました。光学顕微鏡の進歩によって、様々な細胞小器官が発見されるようになり、現在では実際の3000倍もの大きさで観察できるようになっています。また、さまざまな染色法や細胞自身に含まれる色素によって、細胞構造が観察可能となりました。そして、電子顕微鏡の開発が進み、1950年頃には細胞内の主な構造体がすべて発見され、現在ではタンパク質の構造解析にも利用可能となっています。1990年以降には蛍光顕微鏡が開発され、生きたままの細胞を観察できるようになりました。

 この授業を通して、学生たちは生命科学への理解を深め、現代の生命科学のもつ課題について考察していきます。

教員からのコメント

dsc_2724 この講義は、元々、工学部応用化学科の高校理科教員免許取得希望者のための生物学の講義として、スタートしました。しかしながら、高校で生物を履修していない学生でも生物学に興味があれば受講できることから、毎年、受講者が増え続け、今では応用化学科1回生のほぼ全員が参加するようになりました。年度によっては、応用化学科のみならず、工学部他学科や法文学部、理学部の受講生がいることもあります。
 高校で習う生物学は、暗記科目だと思われがちです。実際、動植物の名前や各組織の名前は覚えるしかありません。これは、生き物に全く興味のない人には、億劫な作業です。しかし、生命現象を物理学や化学の視点で観察することはできます。
 生物学の領域は広範です。全部で16回の講義で、そのすべてがカバーできるはずがありません。そこで、この授業では、細胞と細胞内小器官、細胞分裂、遺伝の法則、生物の分類、動物の行動の多様性、生命の誕生、進化、絶滅など、トピックスを絞って講義します。どうして、そういう現象が起こるのか(起こったのか)を物理学や化学の視点で語り、生物学を単なる暗記科目でなく、理解する学問領域として紹介するように心がけています。

学生からのコメント

dsc_2717 堀先生はとてもユーモラスで、親しみやすいです。授業では、まるで物語を読んでいるかのように、生物学を解りやすく解説してくれます。授業の主な内容は、地球の誕生から、生命進化の過程、そして現代の生化学の大まかな流れについてです。
 講義は90分ですが、生化学にかかわる科学者の失敗談や、実験背景などの小ネタや豆知識を豊富に取り入れ、飽きずに楽しく学ぶことができます。また、レポートでは、生物に関する事ならどんなテーマでも書くことができ、興味を持っていることをとことん追求できます。
 愛媛大学に入学した理系の学生さんは、ぜひこの授業に参加して基礎生物学の面白さを知ってください。