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授業紹介 I Report

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2017.09.26
企業法政策(ガバナンス)
法文学部
担当教員:岡田 陽介 / 対象:3回生~

※掲載内容は取材当時のものです。

 この授業では、株式会社に関する法制度の基本的なしくみや政策的背景について説明できるようになること、また、現実に起こっている株式会社をめぐる事件の法的な問題点を把握できるようになることを目的としています。

授業内容

 授業の始めに、学生の習熟度を測る確認テストが行われました。学生たちは、スマートフォンを片手に、インターネットのサイトにアクセスし、択一式の問題に答えていきます。回答はリアルタイムに集計されるため、回答数や正答率などを見ることができます。教員は、同じ問題をスクリーンに映し、正答率が低かった問題を解説していきました。学生が取り組みやすく、スムーズに授業が進められるような工夫がなされていました。

 これまでの授業で、学生たちは「会社の組織再編」について学んでいます。今回はその中でも、わが国の上場会社で15年ぐらい前から増加しているという、会社の経営陣が会社や事業の一部を買収する取引、MBO(マネジメント・バイアウト)について学びました。

 MBOを行う目的は多様ですが、事業のノウハウを熟知した経営陣がその会社の株式を100%保有することにより事業の再編などの大胆な経営改革をしやすくすることがその1つとして挙げられます。また、株主が経営陣のみになるため、上場を廃止することもでき、コスト削減にも繋がります。
 MBOは、二段階買収という方法で行われます。買収者(その会社の経営陣)は、まず株式の公開買付けを行い、できるだけ多くの株式を取得します。こうしてその会社の大株主になった買収者は、次に公開買付けによって取得できなかった株式を、株主の個別の同意なしに金銭を対価として取得します(キャッシュ・アウト)。このようにして、経営陣が会社の全株式を取得します。
 ところが、会社法にはこれまでキャッシュ・アウトを目的とした制度は存在しませんでした。そのため、本来は異なる目的のための制度を利用してキャッシュ・アウトを行わざるをえませんでした。そこで、平成26年に会社法が改正され、キャッシュ・アウトを目的とする制度ができました。これは、総株主の議決権の9割以上を有する者は、株主総会の決議を経ることなく、他の株主全員に対し、保有株式全部の売渡しを請求できるという制度です(特別支配株主の株式等売渡請求)。
 MBOでは、大株主でもあり、会社の情報を多く有する経営者が株式の取得価格を決定するので、締め出される株主にとって不当に低い価格が決定されるおそれがあります。そのため、株式の取得価格の公正さを争う裁判が数多く行われており、実際に起きた事件をいくつか確認していきました。

 この授業を通して、学生たちは、会社を取り巻く法制度はなぜ存在しているのか、またそれはどのように機能しているのかについて考え、企業社会を読み解くための法的リテラシーを身につけていきます。

教員からのコメント

 「企業法政策」の授業はファイナンス編とガバナンス編に分かれており、両方合わせて受講することで「会社法」という法律の全体像が学べます。この授業は、法律学の専門科目には違いないのですが、経済の動きや企業経営の実態についても学ぶことができるため、法律学を専攻する学生はもちろんのこと、経営学を専攻する学生も数多く受講していることが特徴です。2018年度からは、法文学部だけでなく社会共創学部産業マネジメント学科の学生も専門科目として履修できるようになるので、多くの学生の受講を期待しています。

 私の担当する授業では、受講生の予習・復習用に研究室で撮影した短い動画を作成したり、スマホを使った確認テストをすることにより授業時間外学習を促しています。加えて、「大福帳」と呼ばれるシャトルカードを用いて受講生とのコメントのやりとりをすることにより、教員による一方的な講義にならないよう、また受講生の声を授業にリアルタイムで反映できるように心がけています。
 愛媛大学は「学生中心の大学」です。この授業のような講義形式の授業でも、学生のみなさんが楽しくかつ効率的に、そして主体的に学べるような工夫を今後も続けていきたいと思っています。

 学生からのコメント

 会社法の内容は、会社の設立から解散、組織運営、株式や社債等の資金調達等、多岐にわたります。かなり範囲が広く、経済活動の多様化とともに改正が繰り返されるので、しばしば混乱することもあります。しかし、先生が作成してくださるテキストに書き込みながら授業が進むので、集中して理解を深めることができます。また、複雑なところは図表を用いる等工夫を凝らし、私たちに寄り添った解説をしてくださるのでとても分かりやすいです。会社法は、経営に興味がある方はもちろん、これから会社に就職する私たちにも大きく関わる重要な分野です。キーワードはよく耳にするけどよく知らない、関心はあるけど難しい、微妙な距離感にあった会社法がこの講義を通して今までよりも身近に感じられるようになると思います。