物理学の様々な法則を理解し、簡単な物理現象を数式で記述すること、数値計算で解くことを目標とした授業です。

授業内容

 この授業は、共通教育科目の授業で、法文学部、教育学部、理学部、医学部1回生を対象に、後学期の(※)第4クォーター(12月~2月)に全8回の講義が開講されており、以下、第2回の講義のレポートになります。
 授業冒頭、前回の講義の続きで特許の話から始まりました。特許は、出願から1年6か月で公開され、特許の存続期間(特許権)は出願から20年であること、また、その20年は発明をした人が特許料を支払わなければならず、期間中は段階的にその額が上がっていくことについて、説明がありました。また、発明は、公知の事実になったものは特許出願できない、たとえば、授業の場など人が集まった場所で発表しても公知の事実になると解されるので、特許をとるような発明を思いついたときは、信頼できる人にこっそり相談すること、といった話から授業が始まりました。

  その後、授業の本編、この日は「確率」についての講義が行われました。まずは、受講生の中に同じ誕生日の人がいるかの調査した結果、3組いることが判明しました。ここから確率の話に発展し、面積を確率で求めることができる、という解説から、シミュレーションや数値計算を乱数で行う手法であるモンテカルロ法の講義が始まりました。
 解説の後、教室をグループ分けし、モンテカルロ法の理論で円周率を求める実験を行いました。学部の異なる学生たちがその場でランダムに結成したグループであるにも関わらず、それぞれにチームワークを発揮して実験を行いました。立って、動いて、話して、行うグループ、座ってじっくりと紙に書いて行うグループ、スマートフォンのアプリを使って進めるグループ、それぞれのスタイルで作業を行う姿が印象的でした。

 最後に、2組のグループが実験結果の発表を行いました。誤差はありましたが、さらに実験を重ねることで3.14に近づくことが予測できる結果となりました。
 野村先生の脱線話に引き込まれたり、教員と学生、また学生同士のコミュニケーションが行われており、学部の垣根を越えて楽しく学ぶことができる授業です。

※クォーター制とは
本学におけるクォーター制は、1年を前学期・後学期の2学期に分け、原則として学期ごとに単位を付与するセメスター(学期)制の変形的運用として、各セメスター(学期)を2分割して4つのクォーターを設定しているため、単位認定のまとまりはセメスター(学期)制と同じ前学期・後学期となり、卒業は前学期の終わりの9月と後学期の終わりの3月となります。

教員からのコメント

 「自然のしくみ」と言う授業タイトルからは、何か、理系で難しいイメージがあるかもしれませんが、共通教育科目として、法文から医学部に至るまで、学生が参加してくれています。そもそも、自然の理解に文系も理系もないですよね。自然が意外と単純な法則で記述できることがあるのに対して、その解釈が意外と興味深いことをぜひ、楽しんでください。
 私の好きな言葉は「文武両道:Scholar and Athlete」です。勉強も運動も楽しまないと人生を十分に楽しむことはできないということです。最近は、「課題授業」という言葉が流行っていますが、授業というものも、実践を経験して、はじめて楽しめるものだと思っています。
 私はジョギングを日課にしながら、学内の駅伝大会や各地のマラソン大会に参加しています。一方で、夏には琵琶湖で開催される鳥人間コンテストに学生らと参加。ここでは、日本の飛行機の父と呼ばれる、二宮忠八が開発した「カラス型模型飛行器」を人力飛行機として復活させた機体で、愛媛大学航空力学研究会の学生らが挑戦しています。これには、流体力学や材料力学、制御工学などの知識が必要となります。秋には学内紅葉ライトアップ、冬にはクリスマスイルミネーション事業に参加。これらのライトアップに使われるLEDと呼ばれるライトは、愛媛県出身のノーベル賞受賞者である中村修二さんが発明した、青色発光ダイオードの技術が使われています。最近の私の興味は、ナイキが販売しているジョギングシューズです。マラソン記録が更新されている理由を実践して確認してみます。「自然のしくみ」を土台にして、世の中のいろいろな現象に興味を持って、皆さんがそれぞれの分野で、発見・実践・開拓してくれることを期待しています。いいアイディアが浮かんだら、是非、「特許の取得」にも挑戦してみてください。これにも文系や理系は関係ありません。この授業の受講者の中から、マイクロソフトのビルゲイツや、県内3人目のノーベル受賞者が必ず輩出されると信じています。
 結局、また、授業内容を脱線してしまった。ご容赦ください。

学生からのコメント

 今回の授業では、確率から円周率を求める「モンテカルロ法」を学びました。方眼紙と二十面体ダイス・乱数を何回も使って円周率を求める実験をしたのですが、求めた円周率が3.14から少し離れていて、人の手だけでは計測できない回数の実験が行われていると感じました。教員によると、自然現象は確率が大きく関わっているそうです。確率は気象予報でもよく使われています。降水確率はもちろんですが、気象予報では微分方程式が使われていて、微分方程式を解くために確率が使われています。
 自然の仕組みという授業では、今回の授業のように身の回りの現象を数学・物理学的に学習していきます。文系の方もたくさん受講しているので、自然に少しでも興味がある方におすすめです。