この授業では、地域の多様なステークホルダーとのディスカッションやフィールド調査をチームで行い、地域の活動や資源、課題等を調査、把握し、その内容を地域のステークホルダーも含めた場で発表し、地域づくりをしている方々と学生で共有します。

授業内容

 これまでの授業で、学生たちは、道後温泉地区を対象としたフィールド調査をそれぞれのテーマで行っており、今回の授業では、地元の方々への報告を行いました。

 

 「道後 駅前の改革」をテーマに選んだグループは、観光客などの道後温泉駅周辺の滞在時間を調べ、10分未満であることを見出しました。その理由に設備の不足を挙げ、改善策としてベンチの増設を考案しました。そして、ヨーロッパの広場文化や豊田市のプロジェクトを例に、フリースペースとベンチの設置、駅前広場に面した建物の1F部分のカフェ化やイベントの開催といった賑わいのある空間を提案しました。
 「道後で健康マネジメント」に取り組んだグループは、寺や神社が多い、温泉・足湯がある、勾配がある等、道後の利点を考慮し、ウォーキングコースを設定しました。観光だけでなく地元の人も楽しみながら健康志向を高め、観光資源を活かした「ソフトコース」「ハードコース」「犬の散歩コース」の3つのコースづくりを提案しました。

 

 「方言」に着目したグループは、俳句絵馬、俳句ポスト、小池邦夫さんの絵葉書など、道後にある「ことば」の資源に着目しました。観光客が多く訪れる道後で、愛媛に来たことを実感してもらうために、接客などで方言を活用することを提案しました。

附属高校生の発表の写真です

附属高校生の発表

 また、高大連携事業の一環として、附属高等学校の生徒が発表を行いました。生徒の一人は、附属高等学校で生産している農産物を道後で販売する企画を提案しました。「道後と高校生とのコラボ」により、季節や旬を感じられる交流の場を提供することができ、附属高校生が販売することで、コミュニケーション能力の向上や商品の関心度が高まることが期待されます。

 この授業を通して、学生たちは、地域に対して何ができるのか、何をすべきなのか、地域社会に向かう自分のスタンスを実践的に形成していきます。

 

教員からのコメント

松村教授の写真です 「社会は課題発見力を身につけた人材を求めている。」ということを聞いたことがある人も多いと思います。実際に高校で課題発見力をのばすために「課題研究」を行っている人もいるでしょう。では、社会共創学部で行われている課題発見力を伸ばすための授業、「フィールド実習」は他の大学や学部で行われている同じような授業と比べてどこに特徴があるのでしょうか。
 一つは、4つの異なる学科の学生がチームを作っている点にあります。こうすることで、多様な学問領域からなる学生が専門知識や関心を活かして、自分たち独自の視点から複雑な社会問題の課題を明確にすることができます。
 もう一つは、実際の地域とのコミュニケーションを通していることです。本当の課題は何度も訪れないと見えてこないかもしれませんし、地域の人に聞いてみないとわからないこともあるでしょう。こうしたことを積み重ねていくことによって、自分たちの活動は地域や社会にどのような意義を持つのかを自分の言葉で語ることができます。この「自分の言葉で語る」という行為はとても大切です。そのためには、地域での様々な経験やテーマに関連する書籍を通して、考え方の本質に触れるとともに、色々な人と議論しながら、自分で考え続けることが必要になってきます。

 学生からのコメント

方言を使った接客の実演の写真です

方言を使った接客の実演

 この授業では、1年次に座学で学んだことを基に、実際にフィールドに出てより知識の理解を深めるとともに、実践的な調査を行ってきました。調査では、実際にステークホルダーの方とお話ししたり、市役所への聞き取り調査、文献調査などを行いました。毎週の授業後には、その日行った調査の報告をし、先生にアドバイスをいただきながら、より深く地域とかかわることができました。
 最終のプレゼン発表では、これまで調査したことをまとめ、活性化のための提案をステークホルダーの方の前で行いました。普段何気なく歩くところでも、目的をもって歩くことで、新たな発見や、地域の抱える課題が見えてきました。大学生という立場から地域社会を見つめ直し、よりよい社会を共に創るための第一歩となったと実感しています。