この授業は、機械製作・機械操作の実体験を通じて、機械そのものを直感的・本質的に理解するとともに、機械に関する感覚・感触を体得し、ものづくりへの意欲を喚起、機械設計・生産技術者としての自覚を確立することを目的としています。
授業内容
※広報課の職員が実際に受講しました。
取材した回は「加工実習」で、授業の時間が近づくと、愛媛大学城北キャンパス南側に位置する「工学実験実習棟」に揃いの赤い作業着を身に付けた学生が集まってきました。一目で受講生であることが分かります。授業開始を待つ間の受講生の雰囲気は明るく、授業に前向きであることが伺えます。
実習指導は、安全面を考慮し、教員や技術専門職員の目が行き届くよう、受講生は2つのグループに分かれ、半分が工場での実習、半分は別の教室で座学という構成になっています。
はじめに、工場の技術専門職員から、使用する機械を実際に動かしながら説明を受け、その後3班に分かれて、それぞれが課題である、スマートフォンスタンドの製作に取り組みました。
この日の作業は、ベースとなる板状の金属を、自分が定めたサイズに削るというもので、切りくずが飛ぶので、削っていく様子の確認は、胸を張って上からみること、目線を下げてはいけないなどの、先に受けた説明を思い出しながら、丁寧に慎重に作業を進めていました。
硬い金属を1回に削れるサイズは1㎜までのため、目指すサイズになるまで作業を繰り返します。削った後は、ノギスで仕上がりを確認し、ぴったりに仕上がって喜ぶ姿も見られました。
この授業は3人の教員が担当しており、作業中、学生が迷った際はすぐに助言がもらえます。また、教員との距離も近く、質問しやすい様子でしたので、「安全第一」な現場で安心してものづくりに取り組めると言えます。


実習で行う作業は、社会では自動化されていることがほとんどではありますが、仕組みを知ることや、自分でやってみて成果を実感することが、ものづくりへの理解を深めることに繋がります。
やってみたら面白い!そんなものづくりを学べる授業です。
教員からのコメント
社会共創学部産業イノベーション学科ものづくりコースの「ものづくり実習」では、学内の実習工場で、実際のものづくり現場で活用されている各種工作機械の基礎的な操作方法や安全管理について学びます。特に、旋盤、フライス盤、ボール盤といった主要な工作機械の取り扱いを中心に、実践的な技能習得を目指します。そして、ものづくり現場で必要な基礎的な技能と知識を習得し、実際の加工を通じて、設計から製造までの一連の流れを体験します。
本講義では、自分のスマートフォンの大きさに合わせたスマホスタンドを製作します。まず、スマートフォンの大きさを計測し、3D-CADを用いて自分用のスタンドの図面を作成します。
工作機械の使用には常に危険が伴います。そのため、ものづくり実習では、安全教育に力を入れています。機械ごとのリスクや事故防止策、作業前後の点検手順、緊急時の対応方法なども丁寧に指導します。
安全教育の受講後、実習工場で実際の加工を行っていきます。まずはスタンドの脚の部分を、真鍮の丸棒で作っていきます。このとき、旋盤を使用します。旋盤は、材料を回転させ、円筒形状の部品を加工する工作機械です。実習では、まず安全上の注意点(防護具の着用、切りくずの処理など)の説明の後、旋盤の構造と各部名称、回転数や送りなどの切削条件の設定を学び、実際に丸棒の切削を行っていきます。
次に、スマホを載せる板を加工します。板の加工には、フライス盤とボール盤を使用します。フライス盤は、回転する工具(フライスカッター)を用いて、材料の表面や溝、段差などを削り出す機械です。本授業では、回転部への接触防止等、安全操作の徹底を説明した後、フライス盤の基本構造と動作原理、ワークの固定方法、加工精度を高めるためのポイントなどを学びます。説明の後、実際に板を固定し、切削を行います。寸法を計測し、正確に削れているか確認しながら加工していきます。


続いて、ボール盤で板に穴を開けます。ボール盤は、穴あけ作業に特化した工作機械で、実習では、作業の基本操作と注意点、ボール盤の構造と仕組み、ワークの固定と正確な位置決めなどのスキルを身につけます。実際に板に穴を開けて、この穴にスタンドの脚を取り付けます。
こうして、自分で加工した部品を組み立てて、自分のスマホにぴったりと合うスマホスタンドが完成します。
このように、ものづくり実習では、設計から工作機械の基礎までを幅広く学び、ものづくりに必要な実践力と安全意識を養うことができます。これらの経験を通じて、将来の産業界における即戦力となる技術者を目指します。
受講学生のコメント
社会共創学部 産業イノベーション学科 ものづくりコース2年生 島津 香奈 さん
ものづくり実習の講義は、工作機械を実際に扱うことで加工技術を身につける実践的な授業です。前半は、フライス盤や旋盤の名称・仕組み・安全ルールといった基礎的な座学から始まり、その内容を踏まえて実際の加工に進みます。実際にフライス盤や旋盤を使用し、金属を削る感覚や寸法を合わせていく難しさは、教科書だけでは得られない経験で、だんだん理解も深まっていきます。また普段生活していたら絶対に触れることのない工作機器に触れるということはとてもいい経験になります。座学では加工精度の考え方や材料特性など、より発展的な内容へと学びが広がります。
自分の手で作った部品を確認できることは大きな達成感につながり、ものづくりの流れを総合的に理解できる点がこの授業の魅力と言えます。



