この授業では、資料や地図の読み解き方、文献の検索方法、データ分析の方法など、物事の実態について客観的に把握する力を養うことを目的としています。座学と演習を通して、必要な情報に応じた調査手法が何かを選択し、効果的な情報取得と論理的な分析、そしてそこから得られた結果の分かりやすい表現方法の獲得を目指します。

授業内容

社会共創学部地域資源マネジメント学科では、長期の現場実習やフィールドワークによる調査・研究が盛んに行われています。本授業では、主に、調査方法や各データの分析方法、またその結果をまとめるレポートの書き方など、本格的な調査活動を行うための基礎を学ぶことができます。今回は第11回、12回目の授業にお邪魔し、「アンケート調査」に関する講義と演習を取材しました。

講義パートでは、まずアンケート調査の概要説明からスタートしました。なぜアンケート調査をする必要があるのか、欲しい情報に対してどのような方法を選べばよいのか、また誰を対象にすればよいのかなど、具体的な例をもとに解説が行われました。例として、「みかん農家の手取り(販売価格)を上げるには」というテーマに対して、実態の把握、市場の調査、消費者のニーズを探るために必要な調査項目を検証していきます。それらを明確にした上で、本格的な実施方法の選択やスケジュールを決定する必要があると説明がありました。受講生の多くは、これから研究活動が本格化する2年生ということもあり、自分たちの今後の調査活動にどう生かしていくかを考えながら、先生の解説を真剣に聞き入っていました。

続いての演習パートでは、実際にアンケート調査を実践するグループワークが行われました。「若い世代が住んでみたい場所は何処か」「SNS利用についてどう思っているのか」など、学生自身が気になる事象について仮説を立て、誰を対象にするのか、どのような方法で実施するのかを検討していきます。テーマ設定に悩んでいたグループもありましたが、先生たちの的確なアドバイスを受けながら、和気あいあいとアンケート制作に取組んでいました。講義パートの内容を含め、これまでの学びが活かされたおかげか、どのグループもテーマが決まってから実際にアンケートを作成するまで、とてもスムーズに進んでいたのが印象的でした。

今回取材したアンケート調査という項目は勿論、大学での研究活動において非常に重要な内容を数多く学べる授業だと感じました。先生たちと受講生との距離も近く、親しみやすさも感じられました。

教員からのコメント

いま地域をめぐる課題(問題)は、農村・漁村・山村に限らず、以前よりも増えてきています。世界的には気候変動(温暖化)や経済のグローバル化と格差問題などです。日本では、人口減少・少子高齢化、東京一極集中、農山村で増え続ける鳥獣被害などが挙げられます。受験生のみなさんにとって身近な例だと「食の海外依存」や「米の価格(米価)の暴落」などもそうです。「それって何が問題なの?」と思うかもしれませんね。この講義では、さまざまな統計データ、文献調査(検索方法)、アンケート調査の手法を演習によって、客観的に分析し考えることを目的としています。

例えば、アイスクリームの売上げと気温の関係(第1回)や、キッチンカーの可能性を考える(第7~8回)、松山市の野菜はどこからきているのか(第9~10回)などのテーマを統計データの分析を行い考察しています。疑問を「調べ」、「調査」し「客観的に伝える」ことで、卒業研究論文だけでなく、身近な疑問(これって変じゃない?)を理論的に考える力を養っています。皆さんも課題(問題)の捉え方を学び、謎解きをしていきませんか。

学生からのコメント

社会共創学部 地域資源マネジメント学科 2年生 田口 天一朗さん

この「農山漁村調査演習」の講義では、調査や分析、レポートの作成等の調査にかかわる手法を学ぶことができます。社会共創学部のカリキュラムの特色として、実際にフィールドへ調査に出向くことが多いのが特徴です。本講義では課題設定から調査・報告までを実践することができ、調査にかかわる技術や知識を身に付けることができます。 また実際にアンケート票を作製し、それを基にした調査を実施したのちに、調査結果をプレゼンテーションという形で発表する機会が設けられています。3年生、4年生と年次が上がるにつれてより重要な調査が控えている中、それらの予行練習として調査演習を実践できることも本講義の魅力の1つです。